はじめに:目安:日本側は15~20開庁日/各国承認は順次進む・審査期間は読みにくい
ABTC(APECビジネス・トラベル・カード)を申請する際、多くの方が気になるのが「いつ使えるようになるのか」という審査期間です。
・どれくらいで承認されるのか
・なぜ人によって期間が違うのか
・承認が遅い場合は問題があるのか

【この記事を書いた人】
よしもと国際行政書士・社会保険労務士事務所
行政書士・社会保険労務士
吉本 祐樹(Yuki Yoshimoto)
本記事では、ABTC申請の実務に基づき、審査の仕組みと期間の考え方を行政書士の視点から解説します。
ABTCの審査は日本だけで完結しない
ABTCカードの審査は、日本国内のみで完結する制度ではありません。
申請後の流れは、以下のようになります。
①日本(外務省)による承認・推薦
⇓
②APEC加盟国それぞれへの情報送付
⇓
➂APEC加盟各国が個別に審査・承認
⇓
④承認された国から順次利用可能
つまり、各国が独立して審査を行う仕組みになっていますので、審査期間を正確に予測するのは困難です。
なぜ審査期間は正確に予測できないのか
ABTCカードの審査期間については、「何ヶ月で取得できますか?」という質問を多くいただきますが、実務上、正確な日数を断定することは困難です。
各国の審査は、申請人の属性・それぞれの国内事情・審査体制・申請状況によって進み方が異なります。
実務上は、優先審査を希望した国よりも、後から申請した別の申請者の方が先に承認されるケースも見られます。
このように、承認順序は申請順や優先指定の有無と必ずしも一致するわけではありません。
そのため、ABTCカードの審査期間は確定的な日数ではなく、おおよその目安期間として説明せざるを得ない制度となっています。
日本側(外務省)の審査期間の目安
一方、日本側のABTCカードの審査については、書類等に不備がない場合、比較的短期間で処理されるケースが多く見られます。
外務省の案内では、「オンライン申請後、手数料納付書が外務省に到着した日を起算日として15~20開庁日」が日本側の標準的な審査期間とされています。
私の実務上の感覚としては、上記の期間よりも早く承認が行われることも少なくなく、迅速に審査を行っていただいている印象です。
ただし、申請の不備があった場合や申請が込み合っている場合には前後するため、あくまで目安として理解する必要があります。
実務経験から見る審査期間の実感値
ABTCの審査期間は申請人と各国の裁量による差が大きい制度ですが、一定の傾向は存在します。
私自身も、パスポート更新後にABTCを再申請した経験がありますが、その際は初回申請時よりも全体の承認が早く進みました。
初回申請では、最初の数か国の承認まで約5か月程度を要しましたが、再申請時には全体の承認完了までの期間が約2か月ほど短縮されました。
もっとも、これも一例に過ぎず、審査期間は申請時期や各国の審査状況によって大きく変動します。
実務上の感覚としては、申請から6か月前後で多くの国の承認がそろってくることが多い印象ですが、各国の審査状況により前後します。
審査が比較的早い国の場合、日本側の承認と同時に承認が行われるケースもあります。
なお、不許可となるケースも制度上はありますが、要件に適合し、必要書類が整っている場合には、不許可は多くはありません。
審査が遅くても問題とは限らない
審査期間が想定より長くなっている場合でも、直ちに不許可や問題が生じているとは限りません。
ABTCでは各国ごとに審査進行状況が異なるため、一定期間待つこと自体は一般的な状況といえます。
注意:直近の出張には間に合わない可能性があります
ABTCカードは、申請してから全ての承認が揃うまでに数か月を要することが一般的です。
そのため、直近の海外出張に間に合わせる目的で申請しても、承認が間に合わない可能性があります。
ABTCカードの利用を予定している場合は、出張予定から逆算し、十分に余裕をもって申請手続を進めることをおすすめします。
FAQ
Q. ABTCカードは日本の承認だけで使えますか?
A. はい、日本の出入国時に使用できます。
Q. ABTCカードはいつから使えるようになりますか?
A. 日本の承認後、各国の承認が順次追加されるため、承認済みの国から利用可能になります。
すべての国の承認を待つ必要はありません。
承認された国は、アプリ上で表示されますので、その画面を出入国時に審査官へ提示すれば使用可能です。
Q. 承認が遅い国があるのですが、何か問題があるのですか?
A. 問題があるとは限りません。
各国が独立して審査を行うため、承認時期に差が生じることは一般的です。
Q. 急な出張のために申請しても間に合いますか?
A. 各国の審査には通常数か月かかることが多いため、直近の出張目的には間に合わない場合があります。
余裕をもって申請することをお勧めします。
まとめ
ABTCカードの審査期間については、次のように整理できます。
・日本側の承認は比較的早期に行われることが多い
・各国審査は独立して行われるため期間は予測しにくい
・実務上は6か月前後ですべての国の審査完了が一つの目安
・審査の早い国は、日本と同時に承認となる場合もある
・承認は国ごとに順次追加される
・審査が遅くても問題とは限らない
ABTCカードは、「いつ取得できるか」を正確に断定できる制度ではありません。
そのため、外務省へ問い合わせをしても、「各国が独自の裁量で行うものなので分からない」と回答されます。
制度の仕組みを理解したうえで、余裕をもった申請計画を立てることが重要です。
関連記事
ABTCカードとは?メリット・申請要件・取得方法を行政書士が徹底解説