
はじめに
今回は、インドネシア・バリ島への出張でデンパサール空港を利用した際に感じた、ABTCカードの利便性と実際の使い勝手について解説します。
ABTCカードによりビザ取得が不要だった点は、大きなメリットでした。
もっとも、空港ではABTC専用レーンが確認できず、入国時・出国時ともに必ずしもスムーズではありませんでした。

【この記事を書いた人】
よしもと国際行政書士・社会保険労務士事務所
行政書士・社会保険労務士
吉本 祐樹(Yuki Yoshimoto)
この記事では、今回の実体験をもとに、デンパサール空港でのABTC利用状況をまとめます。
結論|ビザ免除のメリットはあるが、ABTCレーンはなかった
今回の実体験を一言でまとめると、デンパサール空港ではABTCによりビザ申請なしで出入国することはできましたが、ABTC専用レーンや案内表示は見当たらず、結果的に有人レーンに並ぶことになって、必ずしもスムーズではなかったということです。
現地で確認した限りでは、一般の観光客を含む外国人利用者は、自動化ゲートの方へ案内されていました。
これに対し、ABTCレーンが見当たらなかったため、私も同じように自動化ゲートを利用しようとしましたが、入国時・出国時ともに、パスポートを機械に読み取らせた段階でエラー表示が出て、結果的に有人レーンへ進むことになりました。
そのため、今回のデンパサール空港では、一般の観光客の方がむしろスムーズに出入国できていたように見え、ABTC利用者である私はかえって時間を要したというのが率直な感想です。
デンパサール空港:入国時の状況


デンパサール空港到着後、ABTCレーンの案内表示は一切見当たらなかった
入国時、空港内を確認した限りでは、APEC や ABTCカード に関する分かりやすい案内表示、看板、専用レーンは一切見当たりませんでした。
そのため、ABTC保有者はどのレーンを利用すればよいのか判断できず、結果的に一般利用者と同じように自動化ゲートを利用することになりました。
一般の外国人利用者は、自動化ゲートへ案内されていた
一般の観光客を含む外国人利用者は、自動化ゲートの方へ案内されており、私も一般利用者と同じように、自動化ゲートを使って入国することにしました。
しかし、パスポートを機械にかざしたところ、エラー表示が出て、有人レーンを利用するよう案内されました。
インドネシア入管の公式案内では、外国人が自動化ゲートを利用する条件として、電子パスポートに加え、e-VOAまたはeVisaの保有が示されていますので、私の場合はこの要件を満たさないため、エラーが表示されたのだと思います。
中央の有人レーンに並ぶことになり、入国審査に15分程度かかった
その結果、やむを得ず中央の有人レーンに並ぶことになりました。
このレーンには、自動化ゲートでエラーが出た人たちが並んでいたものと思われ、15人程度の人が並んでいました。
そのため、列に並んでから入国審査完了まで15~20分程度かかりました。
もっとも、この日はスーツケースが出てくるのも遅かったため、入国審査が終わった後もしばらく荷物を待つ時間があり、結果的に旅程全体に大きな支障が出たわけではありませんでした。
ただ、率直にいうと、入国は決してスムーズではありませんでしたし、ABTCレーンがなかったことは残念でした。
デンパサール空港:出国時の状況


出国時もABTCの案内表示や看板は確認できなかった
帰国時についても、私が確認した限りでは、ABTCに関する案内表示や看板は一切見当たりませんでした。
入国時にABTCカードで入国しており、パスポートにはビザ免除で入国したことを示すシールが貼られていました。
その状態で出国審査フロアに到着し、スタッフの誘導に従い自動化レーンでパスポートを機械にかざしてみました。
出国時も自動化ゲートでは通れず、有人レーンへ
しかし、出国時もやはりエラー表示が出て、有人レーンに並ぶよう案内されました。
エラーの理由は、入国時と同じと思われます。
そのため、結局は有人レーンを利用することになりました。
このときは、現地時間5時台で、審査場はそれほど混雑していませんでしたが、それでも5分程度はかかりました。
混雑時間帯であれば、もう少し時間がかかった可能性もあると思われます。
なぜABTC保有者が通常の観光客より時間がかかったのか
今回の私の感覚としては、今回のバリ島出張でのデンパサール空港での出入国は通常の観光客よりもABTC利用時の方が、空港での出入国審査に時間がかかったように思われました。
その理由として、まずABTCカードの専用レーンが見当たらなかったことが挙げられます。
さらに、私のケースでは、ABTCカードによりビザ申請をしていなかったため、自動化ゲートの利用要件を満たさず、結果的に有人レーンを利用することになった可能性があります。
いずれにせよ、自動化レーンが利用できないことを事前に把握していれば、最初から有人レーンに並ぶことで、もう少し時間を短縮できたと思います。
デンパサール空港でABTCを使うメリット・デメリット
メリット|ビザ申請が不要で、ビザ費用がかからない
ABTCカード保有の最大のメリットは、やはりビザ申請が不要になることです。
ABTCカード保有者は、インドネシアに最長60日間、ビザなしで入国できます。
観光で訪れる場合は、公式eVisaサイトなどでビザ手続を行うことになりますが(観光で最長30日、約5,000円)、ABTCカードを使えば、今回のようにビザを別途申請せずに出入国できるため、通常必要となるビザ費用を支払わずに済みます。
デメリット|ABTCレーンが確認できず、結果的に有人レーンに並び待つことがある
一方で、今回のデンパサール空港では、ABTCレーンやABTC案内表示を全く確認できませんでした。
そのため、入国時も出国時も、自動化ゲートでエラーとなった後、有人レーンに並ぶことになりました。
ABTC保有者の出入国時の導線が明確ではないため、結果的に通常の観光客よりも時間がかかる可能性が高いと感じました。
渡航前の準備|ABTC保有者でもアライバルカード登録や税関申告は必要
ABTCカード保有者は、インドネシア入国時のビザ申請は免除されます。
もっとも、アライバルカード登録や税関申告まで不要になるわけではありません。
2025年10月1日からは、All Indonesiaという統合システムの運用が開始されており、アライバルカード登録・税関申告・ビザ申請をまとめて行うことができます。
そのため、ABTC保有者であっても、渡航前にはアライバルカード登録や税関申告の要否を確認し、必要な手続を済ませておくことがスムーズな入国につながります(ABTCを利用して入国する場合は、ビザ申請は不要)。
これらのビザ申請や各種事前登録については、非公式サイトや詐欺サイトが表示されることもあるため、必ずインドネシア政府の公式サイトから手続を行うようにしてください。
今回の感想・まとめ
今回の利用を踏まえると、デンパサール空港におけるABTC利用については、以下のように言えると思います。
まず、ABTCを持っていれば、ビザ申請をせずに出入国できる点は大きな利点です。
これは費用面でも手続面でもメリットがあります。
その一方で、空港での実際の運用は必ずしもABTC利用者にやさしいとはいえませんでした。
少なくとも私が利用した限りでは、ABTC専用レーンも案内表示も見当たらず、自動化ゲートも使えず、結局は有人レーンで待つことになりました。
そのため、デンパサール空港では「ABTCカードがあるから空港でも出入国がスムースになる」とまでは期待しない方がよいと思います。
むしろ、ビザ免除のメリットはあるが、空港現場では別途並ぶ可能性があるという前提で考えておく方がよいと感じました。
次回バリ出張が入った際には、私はABTCカードで行きますが、無人化レーンにはいかず、すぐに有人レーンに並び、最短で入国できるようにしようと思います。
今回の記事は、2026年3月時の私の体験談になります。
利用する時間帯やその後の運用見直しにより、状況が変わる可能性はあります。渡航時は外務省等のサイトで最新情報の収集をお願いいたします。