ABTCカードは誰が取得できる?取れる人・難しい人の実務判断ポイント【2026年最新版】


はじめに

ABTC(APECビジネス・トラベル・カード)について調べている方の多くが最初に知りたいのは、次のような点ではないでしょうか。

自分(自社)は取得できるのか

・何があれば審査に通りやすいのか

なぜ同じ会社でも、取れる人と取れない人がいるのか

ABTCは、単に「海外へ行く機会がある人」向けの優待制度ではありません。

国際的なビジネス活動を行う「企業」とその「担当者」を対象として運用されています。


この記事を書いた人

よしもと国際行政書士・社会保険労務士事務所

行政書士・社会保険労務士

吉本 祐樹(Yuki Yoshimoto)


本記事では、2026年現在の実務上の申請傾向から、行政書士の視点で「取得できる可能性が高いケース」と「判断の分かれ目」を整理します。

結論:ABTCの可否は「会社の実態」でほぼ決まる

実務上、ABTC申請において個別の具体的な出張計画(いつ・どこへ・どの便で等)が求められることはありません。

最も重要な判断要素は、次の1点に集約されます。

その企業が、国際的なビジネス主体であることを合理的に説明できるか

つまり、審査では「海外へ行く予定があるか」よりも先に、「海外ビジネスを日常的に行っている会社か」が見られるのです。

取得できる可能性が高い企業の「3つの共通点」

① 国際取引・海外ビジネスの実績がある

以下のような実績を客観的な資料で証明できる場合、申請は非常にスムーズです。

輸出入取引の実績(通関書類、インボイス等)

・海外企業との契約締結

海外への投資、または提携実績

継続的な海外案件の受発注

海外取引の量については、審査対象とはされていません

② 企業の「信頼性」と「継続性」が説明できる

実在し、安定して事業を行っていること」の証明が不可欠です。

・それを証明するため登記事項証明書や決算書を求められることがある

日本商工会議所の会員であれば、信頼性と継続性が一定程度推認される

※商工会議所への加入は必須ではありませんが、実務上、企業の信用性を担保し、追加資料の負担を大きく軽減する強力な武器になります。

③ 申請者本人の業務が「国際業務」に直結している

役職名よりも「実務上の関係性」が重視されます。

経営者・役員

海外営業・海外プロジェクトの責任者

技術指導や保守対応の担当者企業が行っている国際活動と、本人の業務が自然につながっていることがポイントです。

取得が難しくなる(または不可となる)典型パターン

どれだけ会社の実績が立派でも、以下のケースでは取得が困難です。

本人に犯罪歴がある

犯罪歴の有無は重要な審査要素であり、罰金刑以上の刑事処分がある場合は取得が難しくなる傾向があります。

※具体的な影響は処分内容・時期等により異なります。

国際ビジネスとの関連性が薄い

・会社として海外取引・海外案件の実態が確認できない

・渡航目的が観光・親族訪問など私的目的であること

・現地において収入または報酬を得ることを目的としたビジネス活動を予定している

・申請者の担当業務と、会社の海外活動・渡航目的との関連性が合理的に説明できない

よくある誤解:具体的な「出張予定」は必要?

ABTC申請において、確定した航空券やホテルの予約表などは必要ありません。

実務上は、「企業の国際的な活動実態から、海外渡航の必要性が合理的に推認される」という形をとります。

そのため、「来月タイに行くから」という目先の予定よりも、「我が社は年間を通じてAPEC域内でこれだけのビジネス実績がある」という実績の説明が重要になります。

行政書士による実務上の判断ポイント

ABTC申請では、単に書類を揃えるだけでなく、企業が国際的なビジネス主体であることを、客観資料によってどのように説明できるかが重要になります。

実務上は企業規模の大小そのものよりも、輸出入実績や海外取引資料などを通じて、国際的な事業活動の実態をどれだけ明確に示せるかによって、申請準備の難易度や審査の進み方が大きく変わります。
同程度の事業内容であっても、提出資料の選定や整理方法によって申請のスムーズさが異なる点は、ABTC申請の特徴の一つです。

また、ABTC申請では申請者個人の役職や詳細な業務内容を直接審査する独立項目は設けられておらず、基本的には企業が国際ビジネス主体として認められるかどうかが判断の中心となります。

もっとも、「渡航目的その他詳細」の記載を通じて、申請者本人が企業の国際取引や海外ビジネスに関与する合理性を補足的に説明することは可能です。

特に商工会議所に加入していない場合には、この記載が企業活動との関連性を補強する説明要素として機能することがあります。

判定項目取得の可能性が高い苦戦・再検討が必要
会社実績継続的な輸出入・海外取引が確認できる実績がなく、国際展開の説明が困難
団体所属商工会議所の会員である(または事業実態を示す資料が十分)事業実態を示す資料が不足
本人に関する要素犯罪歴がなく、「渡航目的その他詳細」で企業活動との関連性を説明できる犯罪歴がある、または企業活動との関連性の説明が困難

まとめ

ABTC取得の判断ポイントは、次の3点に集約されます。

企業が国際的なビジネスを現に行っているか

企業の継続性・信用性を公的に説明できるか

申請者が、会社の海外取引・海外案件に実際に関与している(担当している)こと

「自社の状況でABTCカードが取得できるのか」

「どの資料を組み合わせれば最短で取得できるのか」

など、判断に迷う場合は専門家への相談をお勧めします。

制度の理解以上に、「自社の状況をどう正しく伝えるか」が取得への鍵となります。

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