ABTCカードはいつから使える?承認後の使い方・出入国の流れを行政書士が実体験で解説【2026年版】


はじめに

ABTC(APECビジネス・トラベル・カード)を申請した後、多くの方が気になるのが次の点ではないでしょうか。

・承認されたらいつから使えるのか

・実際にはどのように使うのか

・空港ではどこへ行けばよいのか

制度の概要を説明した記事は多くありますが、実際の利用方法について具体的に解説されている情報はそれほど多くありません。

私はABTCを10年以上前から利用しており、申請もこれまで自分で2回行っています。
また、ABTCを使っての出入国は数十回にのぼり、実務としても実体験としても運用の感覚を把握しています。

最初は私も、「カードを審査官へ見せなければならないの?どう使うんだ?」と少しドキドキしましたが、一度使ってしまうと、その快適さから一般の長蛇の列には戻れないと感じる方が多い制度です。


この記事を書いた人

よしもと国際行政書士・社会保険労務士事務所 代表

行政書士・社会保険労務士

吉本 祐樹(Yuki Yoshimoto)


本記事では、行政書士かつ実際のABTCユーザーの立場から、ABTCカード承認後の使い方を実体験ベースで解説します。

ABTCカードは「すべての国の承認」を待つ必要はない

ABTCカードは、すべての加盟国の承認が完了しなければ使えない制度ではありません。

日本の承認後、各国の審査が進み、承認された国から順次利用可能になります。

現在はバーチャルABTC(APECビジネス・トラベル・カード)アプリが主流

私がABTCカードを使い始めたのは10年以上前になりますが、当時はプラスチック製のカードが発行されていました。

現在では制度がデジタル化され、スマートフォンアプリ上に表示するバーチャルABTC(VABTC) が主流となっています。

現在、日本における新規申請では、バーチャルABTCとして発行されており、カード型の発行は行われていません。

ABTCアプリは、日本承認後すぐ設定を

現在のABTCカードは、スマートフォン画面を提示して利用します。

そのため、日本側の承認連絡のメールが外務省から届いたら、できるだけ早い段階でアプリのログイン・表示確認を行うことをおすすめします。

出張当日に初めて設定しようとすると、通信環境・アプリ更新・ログイン手続きで手間取る可能性があります。

事前に、

✔ ログインできるか

✔ VABTC画面が表示できるか

これらを事前に設定し、すぐに使える状態にしておくことで、現地でも安心して行動でき、無駄な時間やストレスを減らせます。

実際のABTCカード利用方法(体験ベース)

実際の利用方法は非常にシンプルです。

スマートフォンでバーチャルABTCアプリを表示し、指定した4桁のパスワードを入力してログインします。


入国・出国審査の際にパスポートと一緒に審査官へ提示するだけです。

承認された国はアプリ上に順次追加表示されていきます。

実際の表示画面は次のようになります。



承認済みの国が一覧表示され、出入国審査時にパスポートと一緒に提示します。

操作は非常にシンプルで、アプリを起動したのち、パスワードを入力後、開いた画面の「View Card」という表示をタッチするれば、VABTCの証明書画面が表示されます。

この画面を審査官へパスポートと一緒に提示すれば完了です。

特別な設定や事前申請は必要ありません。

空港での基本的な流れ(APECレーンの場所と入国審査優先の使い方)

ABTC利用時の流れは次のとおりです。

①出入国審査エリアへ進む
②APEC(ABTC)レーンまたは案内スタッフを確認
➂スマートフォンでVABTC画面を表示
④パスポートと一緒に提示

これだけで利用できます。

空港の出入国審査場に到着したら、まずは審査台の上にある表示をチェックしてください。

APEC」、「ABTC」、「APEC BUSINESS TRAVEL CARD」などの表示がある優先レーンを使用可能です。

「APEC」と伝えるだけで案内してもらえることもある

国や空港によっては、ABTCカードを空港スタッフの方へ見せれば

・入国審査優先レーン

・出国審査優先レーン

・優先保安検査(ファストトラック)

へ案内される場合があります。

運用や専用レーンの有無は空港ごとに異なりますが、誘導付近のスタッフに

「APEC」、「エイペック」

と伝え、スマートフォン画面を見せるだけで案内してもらえることもあります。

東南アジアの国々の空港では、ABTC専用レーンあたりへ向かってスマホとパスポートを持って歩いていたら、空港スタッフの方から「APEC?」と声をかけてくれることが多いです。

専用レーンや優先保安検査場の場所が分からない場合は、「APEC」とスマホ画面を見せながら、空港スタッフの人へ聞くと案内してもらえることが多いです。

ただし、空港によってはABTCレーンがよくわからないときや、スタッフの人に声をかけたが一般レーンに並ぶように指示されたこともありました。

関西国際空港の帰国時も、ABTCカード利用者は、エアクルーと同じ審査レーンを利用できる場合があります。

ただし、一般旅客の導線は「日本人の入国審査」、「外国人の入国審査」といった形で区分されることが多く、ABTCレーンを利用するには、いったんその導線から外れて移動しなければならないケースもあります。

そのため状況によっては、やむを得ず一般レーンを利用したこともあります。

関西国際空港の一般レーンは出国時にかなり並ぶことが多いですが、帰国時は日本人向けの自動化ゲート(自動化レーン)が整備されているため、入国審査の待ち時間は以前に比べてかなり短縮されています。

通常は少し並べば順番が回ってくることも多いです。

もっとも、長期連休などの繁忙期や帰国ラッシュの時間帯は混雑し、時間がかかることもあります。私はその時々の混雑状況に応じて、ABTCレーンと一般レーンを使い分けています。

なお、国や空港によって運用が異なるため、「ABTCカードがある=必ず専用レーンを利用できる」とは限らない点には注意が必要です。

※空港別のレーン場所については、個別記事で詳しく解説しています。

パスポート更新時の注意(重要)

ABTCカードは、パスポート番号と紐づいて運用されています。

そのため、パスポートを更新した場合や、パスポートの有効期限が到来した場合は、ABTCカードも再度申請手続きを行わないと使用できません。

アプリにカード情報が表示されていても、旅券番号が一致しない状態では利用できません。

出張直前のパスポート更新は、特に注意が必要です。

よくある誤解

ABTCカードがあればどこの国でも使える?

A. 承認済みの国のみ利用可能です。

毎回提示が必要?

A. はい。出入国の都度提示します。

ABTCカードアプリの操作は難しい?

A. いいえ。

画面を表示して見せるだけです。

FAQ

Q. ABTCカードは日本の承認だけで使えますか?

A. 日本承認後にVABTCが交付され、そこから利用開始できます。日本国内でもABTCレーンが設置された空港で使用が可能です(成田・羽田・中部・関西・新千歳・福岡・那覇)。

海外でABTCカードを利用できるのは、アプリに表示された「承認済み国」のみです。

Q. ABTCカードはいつから使える?

A. 結論からいうと、「日本の承認が完了し、VABTCがアプリに表示された時点」から利用可能になります。

Q. 急な出張に間に合う?

A. 各国審査に数か月かかることが多く、直近出張には間に合わない場合があります。

まとめ

こんな方にABTCはおすすめ

・APEC地域へ年数回以上出張する方

・入国審査の待ち時間を減らしたい方

・複数国を短期間で移動するビジネスパーソン

ABTCカードの利用方法は非常にシンプルです。

・承認された国から順次利用可能

・スマートフォン画面を提示するだけ

・入国審査優先レーンを利用できる場合がある

・パスポート更新時は再申請に注意

ABTCカードは制度説明だけを見ると難しく感じますが、実際にやることはシンプルです。

「VABTCをアプリで表示し、パスポートと一緒に提示する」――基本はこれだけです。

本記事が、利用される方の不安解消に少しでも役立てば幸いです。

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