勤務中の礼拝、賃金控除は可能?労働法と企業対応を解説

外国人を雇用する会社から質問を受ける内容で多いのが、「宗教的信仰により勤務時間中にお祈りをしている時間は仕事をしていないのだから、給与を支給する必要はないですよね?」ということです。

労働基準法では、労働時間中に労働者が使用者の指揮命令下にある時間を「労働時間」と定義しています。​

この時間に対しては、会社は賃金を支払う義務があります。​一方、休憩時間等の会社の指揮監督から離れた私的な時間は労働時間に含まれず、その間の賃金支払い義務はありません。​

労働法は、基本的に仕事をしていない場合は賃金を支払う必要はないという、「ノーワーク・ノーペイ」という原則に立脚しています。

労働時間中に礼拝の時間を設けてその時間を賃金から控除する場合は法律上問題はありませんか?

では、勤務時間中に社員が礼拝を行うことを許可している場合、その間労働はしていないわけですが、労働していない時間分を給与から控除することができるのでしょうか?

労働時間中に宗教的な礼拝の時間を設ける場合、それは労働者が個人的な信仰に基づき行う礼拝であり、そこに使用者の指揮命令が入り込む余地がないことが大半だと思います。そのため、一般的には私的な活動とみなされることが多いので、その時間は労働時間に含まれず、賃金支払い義務は生じません。​したがって、賃金を控除することは可能です。

勤務中の礼拝、賃金に関する企業対応

確かに、労働法上は賃金支払いの義務は生じないという理屈は理解できますが、例えば、仕事中に同僚と仕事の手を止め雑談をしたり、トイレに行ったり、飲み物を買いに行ったりすることはよくあると思います。その場合、通常は5~10分はかかります。これらの行為は普通、賃金控除はしていませんよね?この取り扱いの差に合理的な理由を見出せるでしょうか?

上記の場合には賃金控除をせずに、ほぼ同じ時間のお祈りだけを賃金から控除するというのは外国人社員の理解が得られず、会社に対して不満を持つきっかけになりかねません。また、宗教を理由とした不合理な差別的取り扱いとみなされる可能性が高いのではないでしょうか。

これらの理由から、私は企業対応として賃金を控除するべきではないと考えます。

まとめ

しっかりと採用前に労働者の意見を聞き、対応策について話し合い、就業規則等に礼拝時間の取り扱いや賃金支払いの方針を明確に定めておくことが重要です。

​これにより、労働者との間での認識の相違やトラブルを防ぐことが可能です。

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礼拝所の設置は義務化どうかに関するブログ

外国人労働者の勤務中のお祈りに対する取扱いに関するブログ