外国人を雇用した場合、日本人と同じ待遇・条件で雇用しなければなりません。
なぜなら、外国人にも日本人と同じように労働に関する法律が適用され、人種や国籍等による差別は禁止されているからです。
日本の労働に関する法律は、使用者よりも立場の弱い労働者を保護することによって労働者と使用者が対等になることを目的に作られた法律なので、日本人や外国人を区別せずに労働者全体を保護しています。
それに加えて外国人を採用した際に、文化や宗教等の違いから日本人以上に注意しなければならないことや、配慮が求められることが多くあります。
そのなかの一例を、今回のブログで紹介していきたいと思います。
①在留カードが偽造ではないかをチェックする
日本に中長期間在留する外国人には「在留カード」というものが付与されます。
そして、日本滞在期間中は一部の例外を除き、在留カードを携帯することが法律で義務付けられています。
日本に来る外国人の中には悪質なブローカーを介して不法なルートで入国する者も一定数おりますので、アルバイトで外国人を採用する際は、まず在留カードに不審な点がないかをチェックすることが重要です。
精巧に偽造された在留カードを販売する業者もあり、在留カードを見慣れている人でも一見しただけでは偽造品と分からないものも多いため、「在留カード等読取アプリケーション」を使用することをおすすめします。
在留カード等読取アプリケーションは無料で使用可能で、ダウンロードしたアプリに在留カード番号を入力し、読み取った画像と券面記載の内容を見比べて、相違なければ偽造ではないと判断できるものです。
こちらからアプリをダウンロード可能です(出入国在留管理庁ホームページ)
②在留カード記載事項のチェック
日本に在留する外国人は不法滞在でない限り、何らかの在留資格を付与され日本に滞在しています。
留学生は「留学」という在留資格を付与されて教育を受ける活動を行っています。
在留カードを見るときは必ず下記事項を確認してください。
・顔写真が本人かどうか
証明書を偽り働こうとする不法滞在者がいますので、必ず本人確認するようにしてください。
在留カード、パスポートの顔写真が本人かどうか両方とも確認することが望ましいです。
・在留資格が「留学」であること
外国から日本の学校で勉強するために単身で来日した学生の在留資格は、「留学」になります。
外国人学生が外国人の両親と日本で一緒に暮らしている場合は、在留資格は「留学」か「家族滞在」のどちらかを保有しています。親が帰国する場合や奨学金取得のために学校入学のタイミングで「家族滞在」から「留学」に在留資格を変更する方もいるからです。
万が一、働かせている者が不法滞在者だった場合は、不法就労助長罪に問われるリスクがあるのでしっかり確認しましょう。
・在留期間(満了日)を過ぎていないこと
在留期間は期限が到来する前に更新が可能です。すでに在留期間が過ぎている在留カードを所持している場合は、オーバーステイ(不法滞在)の可能性があります。
ただし、在留期間を過ぎていてもオーバーステイ(不法滞在)にならないケースがあります。
なぜなら、在留期間更新の手続きを在留期間が到来する前に行っていたけれども在留期間にまでに結果が出なかった場合、①在留期間更新の許可がされた時か➁在留期間満了日から2ヶ月が経過した時のいずれか早い時までの間は,引き続き今の在留資格をもって日本に在留できるという特例制度があるからです。
例えば、3月31日が在留期間満了日で、その日以前に在留期間の更新許可申請をしていたけれども結果がまだ出ていないケースで、4月15日に審査結果が出た場合は、審査結果が出た日(4月15日)まで適法に在留していたことになります。
なお、申請が許可された場合、元の在留期間の満了日の翌日から新しい在留期間がスタートしますので、上記の例では4月1日から新しい在留期間がスタートしていることになります。
特例制度で在留している場合は、オンライン申請の場合を除き在留カード裏面の「在留期間更新等許可申請欄」に申請中であることが記載されます。
・資格外活動許可を取得しているか
在留カードの裏面下に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」というスタンプが押されているかを確認してください。
この押印があれば、表面の就業制限の有無の欄に就労不可と記載があってもアルバイトとして仕事をさせることができます。


(出入国在留管理庁のホームページより)
加えて注意していただきたいのは、上記事項を確認するために在留カードの交付を求め、その場でチェックすることはなんら問題ありませんが、チェックが終わったらすぐに外国人へ返却するようにしてください。
雇用する外国人のパスポートや在留カードを使用者が保管している会社がごくまれにありますが、至急本人に返却するようにしてください。
③他の事業所でアルバイトしていないかを事前に確認すること
会社は雇用する労働者の労働時間を適切に管理する義務があります。労働者が他の事業所でも働いている場合でもその時間を適切に管理しておく必要があります。
なぜなら、資格外活動として許されている1週間の労働時間は28時間です。この28時間には他の会社でのアルバイトを含めて計算するので、週28時間を超えて労働させていた場合、たとえその者がほかの会社で働いていることを会社が知らなかったとしても、不法就労助長罪に問われる可能性があります。
また、労働基準法には「1日8時間を超えて労働させてはならない」と規定されていますが、この8時間にも自分の会社だけでなく他の会社で働いた時間を含めます。そのため、他の会社で働いていることを知らない場合、A社で5時間働き、自分の会社で4時間働いた場合、知らない間に1日8時間を超えてはならないという労働基準法違反の責任を問われる可能性があります。
ただし、36協定を締結し、それを労働基準監督署に届け出ていれば1日8時間を超えて働かせることができます。
その場合でも、上記の例(A社で5時間、自社で4時間)のように働かせた場合、後に働かせていた自社だけが1時間の割増賃金(残業代)を支払わなければなりません。A社で働いていたことを知らずに割増賃金を支払っていない場合、労働基準法に違反の責任を問われる可能性があります。
④残業(時間外労働)をさせる場合、36協定を締結し労働基準監督署に提出すること
外国人留学生でも残業をさせることは可能です。ここでいう残業とは、1日8時間を超える労働をいいます。
雇用契約で1日6時間と定めた場合に、1時間延長して7時間労働させることは残業にはあたりません。
適法に残業をさせる場合は、下記のことを必ずしなければなりません。
①36(さぶろく)協定を過半数労働組合か労働者の代表者と締結する
➁会社の所在地を管轄する労働基準監督署に36協定を提出する
そうすれば、1日8時間を超えて労働をさせることができますが、8時間を超える場合は超えた時間に対しての割増賃金を払わなければなりません。
また、深夜に労働させる場合(22時から翌朝5時までの間)も、深夜労働割増賃金の支払いが必要になります。
⑤「外国人雇用状況の届出」の提出
外国人を雇用する事業主は、①外国人を採用した場合と➁雇用している外国人が離職した場合は、事業所を管轄するハローワークに「外国人雇用状況の届出」を提出する必要があります。
外国人雇用状況の届出書のダウンロード(厚生労働省ホームページ)
外国人アルバイトの入退社が多く書面による申請が面倒な場合は、インターネットで届出ができる「外国人雇用状況システム」を使用して電子申請することが可能です。
過去に一度でも書面で外国人雇用状況の届出を提出したことがある事業主が電子申請の利用を希望される場合は、外国人雇用状況届出電子届出切替・変更申請書をハローワークへ提出し、申請方法の切替を行う必要があります。
外国人雇用状況届出電子届出切替・変更申請書のダウンロード(厚生労働所ホームページ)
届出期限は、雇入れ・離職の場合ともに翌月末日までに提出することが必要になります。
届出をしなかったり、虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金を科される可能性があります。
⑥まとめ
今回のブログでは、外国人留学生を雇用する際に特に重要な事項を記載しました。これら以外にも、会社の規模や形態、社会保険適用事業所であるか否かにより会社としてしなければならないことや提出が追加で求められる書類もありますので、いずれまとめてブログで紹介したいと思っています。
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