はじめに
就労ビザの更新は、前回許可されているからといって、今回も当然に許可されるとは限りません。
就労ビザの更新審査では、現在の仕事内容、転職の有無、収入、届出の状況、税金や社会保険の履行状況など、これまでの在留状況全体が見られます。
そのため、就労ビザで働いている外国人本人だけでなく、雇用している会社側にとっても、更新でどのような点が問題になりやすいのかを理解しておくことはとても重要です。

【この記事を書いた人】
よしもと国際行政書士・社会保険労務士事務所
行政書士・社会保険労務士
吉本 祐樹(Yuki Yoshimoto)
この記事では、就労ビザ更新で不許可リスクが高まりやすい代表的なケースを、総論としてわかりやすく整理して解説します。
前回許可されていても、今回の更新が許可されるとは限りません
就労ビザの更新では、前回の申請内容だけではなく、現在の活動実態が重視されます。
たとえば、前回の申請時には問題がなかったとしても、その後に転職して仕事内容が変わっていたり、専門的業務よりも単純作業の割合が増えていたり、必要な届出をしていなかったりすると、更新審査で不利に評価される可能性があります。
つまり、更新審査は前回許可された実績ではなく、いまの在留状況が在留資格に合っているかが問われる手続きです。
就労ビザ更新で不許可になりやすい7つのケース
転職後、初めての更新である
転職後の初回更新は、特に注意が必要です。
なぜなら、転職によって勤務先、業務内容、収入、会社の安定性などが変わるため、入管があらためて在留資格との適合性を慎重に確認するからです。
もっとも、転職したこと自体が直ちに不許可につながるわけではありません。
重要なのは、転職後の仕事内容や雇用条件が、現在の在留資格に適合しているかどうかです。
前職では問題がなかったとしても、転職後の仕事内容や雇用条件の説明が不十分な場合には、更新審査で慎重に見られることがあります。
実際の業務内容が就労ビザの範囲とずれている
就労ビザの審査は、肩書きではなく、実際にどのような仕事をしているかを中心に見られます。
たとえば、雇用契約書には「営業」「通訳」「企画」「技術職」と書かれていても、実際には現場作業や補助業務が中心になっている場合、在留資格との関係で問題になることがあります。
単純作業の割合が高い
就労ビザでは、専門的・技術的な業務が中心であることが前提となります。
そのため、専門業務に付随して一部の単純作業が含まれることはあっても、実態として単純作業の割合が高くなっている場合は、更新審査で不利に評価される可能性があります。
また、単純作業を行うことが常態化していることも、同様に不利に評価される可能性があります。
学歴・職歴と現在の業務との関連性が弱い
就労ビザでは、本人の学歴や職歴と、実際に従事する業務との関連性が重視されます。
そのため、大学や専門学校で学んだ内容、またはこれまでの実務経験と、現在の仕事内容のつながりが弱い場合には、更新時に説明を求められやすくなります。
特に転職後は、前職では説明できていた関連性が、新しい職務では弱くなることがあるため注意が必要です。
収入が下がっている、または雇用条件が不安定である
就労ビザの更新では、安定して在留活動を継続できるかという点も重要です。
そのため、以前より収入が大きく下がっている場合や、無期雇用から有期雇用に変更されるなど、雇用条件が不安定になっている場合には、更新審査で不利に評価される可能性があります。
ただし、収入が下がったことだけで直ちに不許可になるわけではありません。
業務内容や会社の状況も含めて、全体として在留活動の安定性に疑問があると判断される場合に、不利に評価される可能性があります。
所属機関に関する届出をしていない
就労ビザで働く外国人は、勤務先の変更などがあった場合、一定期間内に入管への届出が必要になることがあります。
この届出をしていないと、それ自体で直ちに不許可になるとは限りませんが、在留管理上のルールを適切に守っていない事情として不利に評価される可能性があります。
転職などがあった場合には、必要な届出が漏れていないかを必ず確認しておきたいところです。
税金・社会保険・年金などの公的義務に不安がある
就労ビザの更新では、税金や社会保険、年金などの公的義務を適切に履行しているかも重要です。
未納や滞納、手続漏れなどがある場合には、在留状況全体の評価に影響する可能性があります。
更新直前になって慌てるのではなく、日頃から公的義務をきちんと履行しておくことが大切です。
総論として押さえておきたいポイント
ここまで見てきたように、就労ビザ更新で問題になりやすいのは、単に「書類が足りない」ということだけではありません。
むしろ重要なのは、次の3点です。
・現在の仕事内容が在留資格に合っているか
・雇用や収入が安定しているか
・届出や納税などのルールを守っているか
更新審査では、これらを含めた在留状況全体が見られます。
こんな場合は、ビザ更新前に確認しておきましょう
就労ビザの更新前には、少なくとも次の点を確認しておくと安心です。
・転職後初めての更新ではないか
・実際の仕事内容が申請内容とずれていないか
・単純作業の割合が高くなっていないか
・学歴や職歴と仕事内容の関連性を説明できるか
・収入や契約条件に大きな変化がないか
・必要な届出を済ませているか
・税金、社会保険、年金に未納や手続漏れがないか
少しでも不安がある場合は、更新期限が近づいてからではなく、早めに確認しておくことが重要です。
まとめ
就労ビザの更新では、前回許可されたという事実だけで安心することはできません。
転職後の状況、実際の業務内容、単純作業の割合、学歴や職歴との関連性、収入、届出、税金や社会保険の状況など、さまざまな点が総合的に見られます。
そのため、更新の際には、「今の自分の在留状況が、就労ビザの要件にきちんと合っているか」という視点で確認することが大切です。
就労ビザ更新で不安がある方へ
就労ビザの更新では、転職後の状況、仕事内容、単純作業の割合、届出の有無、収入や雇用条件など、個別事情によって注意すべきポイントが異なります。
・自分のケースで更新に問題がないか不安がある
・転職後の初回更新なので事前に確認したい
・仕事内容と在留資格の関係をチェックしたい
このような場合は、更新期限が近づく前に状況をしっかりと整理しておきましょう。
当事務所では、就労ビザ更新に関するご相談を承っております。
更新期限が近づいている方や、転職後の更新に不安がある方は、お気軽にご相談ください。

