はじめに
日本語学校の卒業を控え、「帰国せず日本で就職したいが、まだ内定がない」という方へ。
卒業後も日本で就職活動を続けるには、留学ビザから在留資格の変更が必要です。
そこで活用できるのが 「特定活動(継続就職活動)」 です。

【この記事を書いた人】
よしもと国際行政書士・社会保険労務士事務所 代表
行政書士・社会保険労務士
吉本 祐樹(Yuki Yoshimoto)
本記事では、このビザの概要、留学生本人と日本語学校に求められる要件、申請手続きの流れ、そしてよくある不許可理由をやさしく解説します。
※日本の大学や専門学校を卒業予定の方の特定活動(継続就職活動)ビザに関する記事はこちら
特定活動(継続就職活動)ビザとは?
特定活動(継続就職活動)は、日本語学校卒業後も日本で就活を続けるための在留資格です。
留学の在留期限で帰国せず、日本に在留したまま日本での就職を目指せます。
だれが対象?(対象者早見表)
✅ 海外の大学・大学院で学士以上を取得している
✅ 日本の日本語教育機関(日本語学校)を卒業している
✅ 日本語学校卒業後も学校のサポート(面談・進捗確認)を受ける取り決めがある
✅ 在学中から日本国内で就活を進めていた(説明できる記録がある)
なぜ日本語学校だけ特定活動(継続就職活動)ビザ取得要件が厳しいのか?
「特定活動(継続就職活動)」はもともと日本の大学や専門学校等の正規課程修了者向けに運用されてきた制度です。
日本語学校の卒業生については、在留の乱用防止と就職実現性の担保のため、対象を海外大卒業で学士以上の学位を有し、かつ、一定水準の日本語教育機関の伴走支援がある場合に限定しています。
さらに、2024年から認定日本語教育機関制度が本格化し、在籍管理・就職支援体制・実績や卒業後の定期面談などの“伴走要件”が重視されています(告示校の経過措置は2029年3月31日まで)。
要するに、本人要件(学位・出席・資金・在学中の就活)と学校要件(認定・体制・実績・推薦)がセットで整って初めて申請対象になります。
これが、日本語学校卒業生の就職ビザの取得要件が厳しくされている理由です。
留学生(本人)の要件チェックリスト
以下の要件をすべて満たすことが必要です。
✅ 学位:海外の大学または大学院を卒業(修了)し、学士以上の学位を持つ
✅ 出席状況:在籍していた日本語教育機関の出席率がおおむね9割以上で良好
✅ 資金:就活継続に足りる経費支弁能力(貯金や仕送り等の根拠)
✅ 就活実績:在学中から日本国内で就職活動を実施していた事実がある
✅ 卒業後サポート:卒業後も定期面談を行い、進捗報告・情報提供を受ける取り決めがある
✅ 推薦状:在籍していた日本語教育機関から推薦状を取得できる
日本語教育機関(学校)の要件チェックリスト
学校側にもビザ申請のための要件があります。
✅ 文部科学大臣の認定を受けた日本語教育機関の留学課程であること(日本語教育機関認定法=令和5年法律第41号)。
※ 経過措置:令和11年(2029年)3月31日までは、従前の法務省告示第145号「告示校」も要件充足とみなす取扱い
✅直近3年間の在籍管理が適切であること(問題在籍率5%超等が認められる場合は不適切の扱いあり)
✅ 職業安定法に基づく職業紹介事業の許可・届出を行っている、または、就職を目的とするコースを備えている。
✅ 在籍留学生の国内就職について、直近1年で1名以上または直近3年で2名以上の実績がある。
✅ 本件措置を活用する留学生に対し、卒業後も定期面談・進捗確認・情報提供を実施。
✅本件措置を活用する留学生の就職が決まらない場合や就活中止の場合は、適切な帰国指導を行うこと。
在留期間と更新
初回6か月、1回更新可で最長1年になります。
就活の進捗説明や就活の継続性が更新の際のポイントになります。
手続きの流れ(学校・留学生の分担が明確になる実務フロー)
Step 1|卒業前
留学生:在学中から求人エントリー・セミナー参加・面接等を実施(証拠書類を保管)
学校:対象者の抽出、出席状況・学修状況・就活状況の確認、推薦可否の内部審査
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Step 2|卒業時
留学生:卒業(修了)証明、在学中の就活実績資料、資金計画(残高証明等)を準備
学校:推薦状、定期面談・情報提供の取り決め書(確認書)、就職支援体制の説明書面を準備。
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Step 3|在留資格変更申請(留学→特定活動)
提出先:地方出入国在留管理局
ビザ申請時期の目安:卒業2ヶ月前には申請
主な提出書類(例):在留資格変更許可申請書、写真、パスポート、在留カード、学校推薦状、出席状況証明、海外大の学位証明、資金立証資料、就活継続の資料、定期面談等の確認書、学校要件確認資料 など
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Step 4|結果通知→在留カード更新
特定活動(継続就職活動)ビザのよくある不許可理由
・出席率が9割未満や記録が不十分
・在学中の就活実績が乏しい(在学中には取得活動を行っていなかったように見える)
・資金計画の裏付け不足(残高証明・送金記録・支援者の収入証明が弱い)
・学校側の体制や実績が説明不足
対策:在学中からしっかりと就職活動を行い、都度その記録を残して準備をすすめておきましょう。出席・就活・資金・学校体制の証拠をすべてそろえる必要があり、学生・学校の連携も不可欠です。
学校運用のベストプラクティス(審査で強い体制)
・就職支援ルールの明文化:定期面談の頻度、記録様式、情報提供の方法を内規化
・推薦審査の基準表:学修・出席・素行・就活実績・支弁能力・進路適合性を採点式で記録
・証拠保全:学生の就活エビデンス(応募履歴、面談記録、イベント参加票、企業からのメール等)を学校側でも写しを保管等
・実績管理:直近1年~3年の就職者数を管理台帳で即時提示できるよう整備
FAQ(よくある質問)
Q1. 特定活動(継続就職活動)ビザの在留期間はどのようになりますか?
A. 6か月+更新1回で最長1年間になります。
Q2. 資格外活動でアルバイトはできる?
A. 資格外活動許可を取得すれば可能です。在留資格変更許可申請を行う場合に、資格外活動許可申請も一緒に行いましょう。
留学ビザと同様に、1週28時間未満の労働時間制限があります。
Q3. 学校が「認定日本語教育機関」でないと、特定活動(継続就職活動)ビザの申請はできないのですか?
A. 原則は文科大臣認定が必要ですが、2029年3月31日までの経過措置として、従前の告示校でも要件を充足しているとみなされます。
ご自身の日本語学校が認定日本語教育機関に該当するかどうかは、学校の就職課にご確認ください。
Q4. 出席率が9割未満だと特定活動(継続就職活動)ビザの申請はできないのですか?
A. おおむね9割以上が基準とされています。9割未満だと審査上不利になります。
やむを得ない事情により出席率が9割未満となってしまった場合、その理由に合理性があり、かつそれを説明する資料・証拠を一緒に提出すれば、その事情を考慮してもらえる可能性はあります。
Q5. どのタイミングで申請すべき?
A. ビザの審査には1ヶ月程度かかりますので、卒業2ヶ月前には申請を行いましょう。
まとめ(実務アドバイス)
対象は、海外大卒(学士以上)で、日本の一定要件を満たす日本語教育機関を卒業した人
留学生(本人)の要件:出席率概ね9割、経費支弁能力、在学中から就活、卒業後も定期面談・進捗報告、学校の推薦状が必要
学校側の要件:文科大臣認定の日本語教育機関(※経過措置あり)、在籍管理が適切(問題在籍率5%超などはNGの取扱い)、職業紹介の許可・届出または就職目的コース、直近の就職実績、卒業後の定期面談と帰国指導の体制
「認定/経過措置の確認・在籍管理・就職支援体制・実績」を示せるように
在留期間:6か月+1回更新=最長1年(原則)
申請は卒業前に2ヶ月前には行いましょう。都度、証拠・就職活動の記録を残していくことが重要で、それが許可への最短ルートになります。
卒業後に慌てないよう早めに情報収集を行い、不明点があれば早めに学校やビザ専門の行政書士に相談し、必要書類とビザ申請の準備しておきましょう。
関連ブログ:留学中に就職が決まり、留学ビザから就労ビザへの変更方法について解説したブログはこちら
