はじめに
ワーキングホリデー(以下、ワーホリ)は、観光と文化交流を主目的としつつ、生活費補填のための付随的な就労が認められる制度です。
中小企業でも短期戦力として採用されるケースが増えていますが、社会保険・税務・禁止業種・在留資格の確認など、見落としやすい論点が多数あります。

【この記事を書いた人】
よしもと国際行政書士・社会保険労務士事務所 代表
行政書士・社会保険労務士
吉本 祐樹(Yuki Yoshimoto)
この記事では、ワーホリで来日した外国人を雇用する企業が押さえるべきポイントを、最新情報に基づいて徹底解説します。
ワーキングホリデー(ワーホリ)の基礎知識
制度の趣旨:観光・交流が主目的で「付随的就労」が認められる
対象:18~30歳(国によっては例外あり)
在留資格:特定活動(ワーキングホリデー)
在留期間:原則1年(国により延長制度あり)
就労制限:風俗営業関連の仕事は禁止(バー、ナイトクラブ、パチンコ店等)
ワーキングホリデー(ワーホリ)人材採用のチェックポイント
在留資格・在留期間の確認
在留カード(表裏)コピーを取得
在留カードに在留資格「特定活動」と記載があるかをチェックします。
※在留カードには「特定活動」としか記載がありません。在留資格「特定活動」は類型が多数あるため、在留カードだけでは判別不可できません。
パスポートの指定書を確認
パスポートに指定書という書類が張り付けられていますので、ワーキングホリデーと記載があるかチェックします。
ワーキングホリデー(ワーホリ)で禁止される業務
以下の業務は、日本のワーキング・ホリデー(特定活動)で就くことができません。
・風俗営業・風俗関連営業に当たる仕事
例:バー、キャバレー、スナック、ナイトクラブ、キャバクラ、ホストクラブ、ダンスホール等(接待の有無にかかわらず「バー」等は不可)
・遊技・娯楽系の風俗営業
例:パチンコ店、麻雀店(雀荘)、ゲームセンター等
・性風俗関連・アダルト関連
例:性風俗店、ラブホテル等に関連する業務(受付・キッチン・清掃・呼び込みなどの間接業務も不可)。
・賭博場等(ギャンブル施設)
例:賭博場・カジノ相当施設など
上記業務に従事した場合、退去強制事由に該当します(人身取引被害が認められる場合を除く)。
ワーキングホリデー(ワーホリ)雇用のメリット
ワーキングホリデー(特定活動)の方は、風俗営業等(風営法)に該当する業務を除き、接客・販売・製造補助・事務など幅広い職種で就労が可能です。
最大のメリットは、一般の就労ビザ(例:技術・人文知識・国際業務)のような「単純労働は不可」といった就労制限がないため、現場ニーズに合わせた柔軟な配置ができる点にあります。
※ワーホリ制度の趣旨は「休暇・文化交流」であり、就労は旅費補填のための付随活動という位置づけである点に留意してください
ワーキングホリデー(ワーホリ)の雇用形態
雇用形態については自由に定めることができます。正社員・契約社員・パートタイム雇用等、どの雇用形態も選択可能です。
ワーキングホリデー(ワーホリ)社員の雇用後に必要な手続き
・社会保険資格取得手続き
・外国人雇用状況届出書の提出
※雇用保険に加入しない方(ワーキングホリデー等)は、外国人雇用状況届出書を翌月末までにハローワークへ提出する必要があります。
・マイナンバーの取得・管理(社会保険・税務処理で必須)
ワーキングホリデー(ワーホリ)で働く外国人の社会保険の取り扱い
健康保険・厚生年金
・日本人と同様、要件を満たせば加入義務あり
・正社員相当(1週間の所定労働時間または1月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上)→ 社会保険加入
・パート等の短時間労働者 → ①週20時間以上 ②月額8.8万円以上 ③学生でない ④従業員51人以上の適用事業所は社会保険加入
※詳細はこちらをご覧ください → 日本年金機構:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
雇用保険
ワーキングホリデーは雇用保険の適用除外(=加入不可)です。
労災保険
・国籍、在留資格に関わらず全労働者が対象
ワーキングホリデー(ワーホリ)で働く外国人の税務の取り扱い
所得税
・ワーホリ期間の給与は一律20.42%で源泉徴収し、年末調整の対象外
参考:国税庁「日本における給与に係る源泉徴収制度の概要」
・就労ビザへ切替得た場合は、通常課税へ
住民税
・その年1月1日時点で住民票がない場合、課税されない
・翌年度から住民税が発生するケースあり
ワーキングホリデー(ワーホリ)で働く外国人の労務管理ポイント
・労基法・安衛法・最低賃金法など、日本人と同じルールが適用される
・最低賃金法が適用されるため、時給換算で最低賃金を下回らないよう基本給・時給設計が必要
・6か月以上雇用する場合、年次有給休暇は勤務形態に応じて付与
・時間外・休日労働は36協定と割増賃金ルールを適用
ワーキングホリデー(ワーホリ) よくあるQ&A
Q1. ワーホリは「週28時間まで」しか働かせることができないの?
→ いいえ。週28時間の制限は留学や家族滞在などで資格外活動許可を得た場合のルールで、ワーホリ(特定活動)には適用されません。
ワーホリでは「旅行資金を補うための付随的就労」が認められており、週○時間といった数値上限は法令上は設けられていません(ただし“主目的は休暇”であることに留意)。
一方で、労働基準法は当然に適用され、原則「1日8時間・1週40時間」の労働時間制限に従う必要があります。
これを超える場合は36協定の締結・提出と割増賃金の支払いが必要です。
10人未満の労働者を雇用する一定業種(商業、映画・演劇、保健衛生、接客娯楽業)では週44時間の特例があります。
Q2. ワーキングホリデー(ワーホリ)で働く外国人のは雇用保険に加入させないといけないのですか?
→ いいえ。ワーホリは雇用保険の適用除外になりますので、加入手続きは不要です。
Q3. ワーキングホリデー(ワーホリ)で働く外国人のは健康保険・厚生年金に加入させないといけないのですか?
→ はい。労働時間・賃金要件を満たせば加入の義務があります。
Q4. ワーキングホリデー(ワーホリ)で働く外国人のの税務処理はどうなりますか?
→ ワーホリは非居住者に該当しますので、給与支給時の所得税の源泉徴収は20.42%になります。
Q5. ワーキングホリデー(ワーホリ)で働く外国人のの社員を正社員雇用(継続雇用)する場合(就労ビザへの切替)
ワーホリ期間終了後も同じ人材を雇用する場合は、就労系の在留資格(例:技術・人文知識・国際業務、特定技能 など)への切替が必要です。
審査期間の目安は、申請受理から通常2〜3か月程度(時期や案件内容により変動)。そのため、できるだけ早い段階で切替要件を確認し、逆算でスケジュールを組むことが重要です。
切替ルートは国籍等により次の2通りに分かれます。
① 国内での在留資格変更許可申請(いわゆる「変更申請」) → 帰国不要
日本に在留したままビザ変更できる以下の国籍の場合
・オーストラリア
・カナダ
・ドイツ
・ニュージーランド
・韓国
② 一時帰国 → 在留資格認定証明書(COE)取得(帰国前に申請・取得も可能) → 新在留資格で再入国
国内での切替が認められていない上記の5ヶ国以外の国籍の場合
※この場合の問題点としては、ワーホリ満了した後に帰国が必要なので正社員として就労開始の間にブランクが必ず発生する点です。
👉 関連記事:以下のブログでワーホリから就労ビザへの切り替えを詳しく解説しています。
ワーキングホリデー(ワーホリ)から就労ビザへ変更は可能?帰国が必要な国・必要書類について専門家が解説
ワーキングホリデー(ワーホリ)で働く外国人の社員受け入れチェックリスト(企業向け)
☑在留カード・指定書で在留資格・在留期間を確認
☑業務が禁止業種に該当しないか確認
☑雇用契約書・労働条件通知書を作成
☑外国人雇用状況届出書を翌月末までに提出(厚生労働省ホームページよりPDFダウンロード可能)
☑社会保険の加入要否を判定
☑雇用保険は加入不要
☑給与は20.42%で源泉徴収(年末調整不可)
☑継続雇用時は就労ビザ切替の要否を早期確認
まとめ
ワーキングホリデー人材を雇用する際には、在留資格の確認・雇用保険の除外・社会保険加入の要否・非居住者課税といった点を正しく押さえることが重要です。
また、短期間の雇用であっても、日本人と同様に労働法規が適用されるため、最低賃金・労働時間・安全衛生管理には十分注意しましょう。
当事務所のワーキングホリデー(ワーホリ)サポート事例紹介
当事務所は、旅行会社様がワーキングホリデーで来日した方を短期雇用し、のちに正社員として「技術・人文知識・国際業務」(技人国)ビザへ切り替える手続きをサポートさせていただきました。
対象の方は協定上、日本国内でワーホリからの在留資格変更が認められていない国籍に該当していたため、在留期間満了前に一度帰国。日本滞在中に在留資格認定証明書(COE)を申請し、許可取得後、改めて就労目的で再入国するルートを採りました。
本件は当事務所と給与計算を含む社会保険顧問契約を締結いただいている企業様の案件で、以下の業務を一気通貫で対応させていただきました。
・就労ビザ取得可否の事前評価(要件充足性のチェック)
・社会保険の適用可否判定
・帰国要否を含む全体スケジュール設計(ワーホリで入社・退職・社保資格喪失→再入社・社保取得)
・社会保険の適用可否判定
・雇用契約書・労働条件通知書、職務内容の適法性確認と修正
・技人国ビザの在留資格認定証明書交付申請
・社会保険の資格喪失・資格取得手続
・給与計算(在留区分変更に伴う税・社保の取り扱い整理を含む)
結果として、法令に適合した手順で空白期間やリスクを極力最小化し、正社員としての就労へ円滑に移行できました。
ワーキングホリデー(ワーホリ)で働く外国人ののことでお悩みの場合は、お気軽にご相談ください
よしもと国際行政書士・社会保険労務士事務所は、ビザ申請 ・労務管理 ・社会保険手続きまで一気通貫でサポート可能な数少ない事務所です。
ワーキングホリデー人材の雇用について、「どうすればいいかわからない」と悩んでいませんか?
まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

