はじめに
外国人を雇用している中小企業が増えてきたことから、人事・労務担当の方から、
「外国人アルバイトでも雇用保険は必要?」
「学生やワーホリは?家族滞在のパートは?」
といった相談が増えています。
結論として、雇用保険は国籍を問わず条件を満たせば日本人と同様に加入が必要です。
ただし、特定の在留資格や身分による例外があります。

【この記事を書いた人】
よしもと国際行政書士・社会保険労務士事務所 代表
行政書士・社会保険労務士
吉本 祐樹(Yuki Yoshimoto)
この記事では、加入が必要なケース・不要なケースを整理し、雇用保険の手続きや備考雇用保険被保険者資格取得届の備考欄の在留情報記載、外国人雇用状況の届出まで、詳しく解説していきます。
外国人労働者が加入すべき社会保険の全体像
まず、外国人労働者の加入が必要な社会保険について整理しましょう。就労に関係する保険は以下の4つです。
健康保険・厚生年金は、事業所の種別により適用事業所となり、個々の労働者は3/4基準または『短時間労働者の適用拡大』(週20時間・月額8.8万円以上・学生でない 等)に該当すれば加入対象です。
労災保険:労働時間に関係なく、働く全ての人が対象
雇用保険:原則、週の所定労働時間20時間以上、かつ、31日以上の雇用見込みがある場合は加入
健康保険:法人は原則として適用事業所になる。ただし加入対象は労働者の要件(3/4基準 or 短時間労働者の適用拡大:週20h・月8.8万円・学生でない 等)で判定
厚生年金保険:法人は原則として適用事業所となる。ただし加入対象は労働者の要件(3/4基準 or 短時間労働者の適用拡大:週20h・月8.8万円・学生でない 等)で判定
雇用保険加入の2大要件(週20h・31日見込み)
雇用保険は、以下の2要件に該当すれば国籍を問わず原則加入です(名称や本人希望は不問)。
①1週間の所定労働時間が20時間以上
②31日以上の雇用見込みがある(更新規定があり31日未満の雇止め明示がなければ原則「見込みあり」として扱われます。契約期間が31日以上実績がある場合も同様です)。
手続き(翌月10日まで/備考欄の書き方)
提出書類
提出期限
雇入れ日の属する月の翌月10日までに提出が必要になります。
雇用保険被保険者資格取得届の備考欄の記載(旅券・在留カードで確認)
在留カードを見て以下の17から23の項目を記載していきましょう。
・被保険者の氏名
・在留カード番号
・在留期間
・期間
・資格外活動許可の有無
・派遣・請負就労区分
・国籍、地域
・在留資格
この情報を記載した雇用保険被保険者資格取得届を作成し、資格取得届の17~23欄に在留情報等を記載すれば、労働施策総合推進法28条の「外国人雇用状況の届出」を兼用できますので、別途、「外国人雇用状況の届出」を作成・提出する必要はありません。
提出先
事業所を管轄するハローワーク
雇用保険 在留資格別の取り扱い(留学・ワーホリ・家族滞在)
留学(留学生のアルバイト)
原則:昼間学生は適用除外となります。
例外:以下の場合は、雇用保険への加入が必要になります。
・夜間・通信制・休学中の学生
・卒業見込証明書があり卒業後も同一事業所で継続勤務予定の学生
雇用保険加入の判定は、他の労働者と同様に週20h・31日見込みを用います。
特定活動(ワーキング・ホリデー)
結論:雇用保険の被保険者となりません(加入不可)
理由:ワーキングホリデーは日本に在留する目的が「休暇」であって「就労」ではないため、雇用保険の適用除外となります。
ワーキングホリデー 雇用時のチェック項目
①在留カードで「特定活動」であることを確認
②パスポートに貼り付けられている「指定書」でワーキングホリデー指定を確認
家族滞在(配偶者・子の就労)
前提条件:資格外活動(包括)許可が必要で、原則週28時間以内の就労が可能です。
雇用保険の判定:上記を満たしたうえで週20h・31日見込みなら雇用保険に加入する必要があります(在留資格の種類=入管法の就労制限と、雇用保険の加入判定は別軸で考える必要があります)。
よくある質問(FAQ)
契約1か月(更新あり)の外国人アルバイトは、雇用保険加入が必要ですか?
A. 原則、加入対象です。1か月契約でも“更新あり”で、31日未満で打ち切る旨の明示がなければ、31日以上の雇用見込みと判断されます。
雇用保険に加入するための書類の提出期限と提出先を教えてください?
A. 事業所を管轄するハローワークへ、翌月10日までに雇用保険被保険者資格取得届を提出してください。備考欄に在留情報を記入すれば雇用状況届出を兼用できます。
雇用保険の加入手続きを怠った場合の罰則はありますか?
A. 被保険者資格の取得届など「届出をせず、または虚偽の届出」をした事業主は、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になり得ます(雇用保険法83条)。
ワーキングホリデーで来日している外国人を雇用する予定です。雇用期間は半年で、1日8時間勤務の予定です。雇用保険の加入は必要でしょうか?
A. 加入は不要です(適用除外)。在留カード指定とパスポートに貼り付けられた指定書を確認して、本当にワーキングホリデーで滞在しているのかをチェックしてください。
そのまま使えるチェックリスト(人事向け)
雇用前の確認事項
☑当社は雇用保険の適用事業所
☑在留カードで在留資格・在留期間・就労制限を確認
☑パスポートの指定書確認(特定活動ワーキングホリデーの場合)
☑資格外活動許可の確認(留学生、家族滞在の場合)
契約・労働条件の確認 → 雇用保険加入が必要
☑契約上の週所定労働時間が20以上時間以上
☑31日以上の雇用見込み
☑昼間学生ではないこと(学生の場合)
手続き関連
☑翌月10日までに資格取得届を提出予定
☑雇用保険被保険者資格取得届の備考欄に国籍・在留資格・在留期間・資格外活動許可等を記載
さいごに
雇用保険の適用判定は、①週所定労働時間20時間以上、②31日以上の雇用見込み、この2要件の確認が基本です。
あわせて、在留資格ごとの適用除外(例:昼間学生は原則除外/ワーキングホリデーは適用除外)の有無も必ずチェックしてください。
「技術・人文知識・国際業務」で正社員として働く外国人は、原則として加入対象です。その他の在留資格は、上記の除外要件に該当しないかを個別に確認しましょう。
実務では「学生だがこのケースは?」「過去の未手続きは遡及できる?」など、迷いやすい場面が少なくありません。
誤った処理は、雇用保険加入不要なのに加入・保険料を徴収してしまうなどのミスを招き、誤った労働保険料の納付につながりかねません。その場合、是正手続きが必要になります。
当事務所(よしもと国際行政書士・社会保険労務士事務所)では、就労ビザ申請代行 → 適用判定 → 資格取得届等の書類作成 → 提出代行まで一気通貫でサポートします。過去分の是正も対応可能です。
お困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

