はじめに
外国人が日本で働いていて転職をする場合、
・現在持っている就労ビザ(在留資格)がそのまま使えるのか?
・転職にはどんなビザに関する手続きが必要か?
といった疑問を持つ方も多いでしょう。

【この記事を書いた人】
よしもと国際行政書士・社会保険労務士事務所 代表
行政書士・社会保険労務士
吉本 祐樹(Yuki Yoshimoto)
本記事では、「技術・人文知識・国際業務」ビザで働いている外国人の方が転職する際のビザ手続きについて、ケース別にわかりやすく解説します。
転職しても技人国ビザは使える?
まず、前提として「技術・人文知識・国際業務」ビザを保有している外国人は、自由に転職をすることができます。他の就労ビザで働く外国人も同様です。
ただし、技人国ビザのままで働き続けられるかは、以下の2つの要件に左右されます。
①新しい職場の仕事が同じもしくは類似した業務内容であること
②大学等で学んだ内容と仕事内容に関連性があること
仕事内容が前職と「同じ」か「異なる」かによって、転職時に行うべき手続き内容が変わります。
仕事内容が前職と大きく変わらず、かつ業務の専門性・技術性がある場合、現在の「技術・人文知識・国際業務」ビザ引き続きのままで引き続き働けることができる可能性が高いです。
しかし、在留期限の長さによって申請すべき手続きが異なるため、以下で各ケースごとに解説していきます。
仕事内容が同じ・似ている場合の転職と、就労ビザの手続き
例:機械エンジニアから別の会社で機械エンジニアに転職
【ケース1】在留期限が3か月以上ある場合:就労資格証明書の取得を推奨
この場合、仕事内容が前職と同様である限り、ビザの手続きは基本的に必要ありません。
しかし、次回の在留期間更新時にスムーズに審査を受けるためと、本当にこのビザのままで大丈夫なのかといった精神衛生上のために、「就労資格証明書」の取得を推奨します。
就労資格証明書とは?
「就労資格証明書」とは、現在のビザで転職先の業務を法的に問題なく行えるということを、事前に出入国在留管理庁が確認・証明してくれる書類です。
就労資格証明書交付申請の詳細は、こちらのブログをご覧ください。
▷就労資格証明書取得のメリット
・転職先での業務内容がビザ要件に合致しているかを明確化できる
・次回のビザ更新時に審査がスムーズに進む
・不許可のリスクを事前に回避できる
▷ 注意点
取得は義務ではありませんが、取得していないと、次回の更新時に業務内容や転職先の会社に関する審査を受けることになります。
最悪の場合、更新不許可となり、転職先での継続勤務ができなくなるリスクもあるため、可能な限り事前に取得しておくことが望ましいです。
【ケース2】在留期間が3か月未満の場合:在留期間更新許可申請を行う
転職時点で在留期間が残り3か月を切っている場合は、「就労資格証明書」の取得は間に合わない可能性が高く、もし取得できても結局ビザの更新は必要になるため、在留期間更新許可申請(ビザの更新)を行います。
在留期間更新許可申請(ビザの更新)に関しては、こちらの記事をご覧ください。
▷ 審査上のポイント
仕事内容が前職と似ていても、転職先での業務が現行ビザの範囲に適合していること、専門的・技術的な業務であること、大学等で学んだ内容と業務内容に関連性があること、を文書でしっかり説明する必要があります。
仕事内容が異なる場合の転職と、就労ビザの手続き
例1:「技術・人文知識・国際業務(技人国)」内での職種変更 ⇒ 就労資格証明書交付を推奨
例:機械エンジニア → 通訳や営業職などへ
機械エンジニア、通訳、営業業務、これらの業務はすべて「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で認められる範囲内の業務に該当します。
ただし、この場合の転職であっても、技術・人文知識・国際業務の在留資格を取得するために求められる要件(学歴・業務内容の関連性等)を満たしている必要があります。業務内容が若干異なる場合、ビザの制度に詳しくないとこの要件を満たしているかどうかを判断することがとても難しいです。
そのため、その要件が法的に充足されているかを「就労資格証明書」でチェックしておくことを強くお勧めしています。
🔍ポイント:業務の変更がある場合は、就労資格証明書の取得することが安心につながります!
例2:技術・人文知識・国際業務ビザの対象外業務への転職 ⇒ 在留資格変更許可申請が必要
例:機械エンジニア → 飲食店の調理人 : 「技術・人文知識・国際業務」ビザのままでは就労できない職種
機械エンジニアは一般的に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当しますが、飲食店の調理人は「技能」という在留資格に該当します。
このように、転職で別の在留資格に該当する場合は、在留資格変更許可申請(ビザの変更)が必要になります。
この場合、当然のことですが新しく働く「技能」の要件を満たしている必要があります。
転職ケース別の就労ビザ手続き一覧表
| ケース | 内容 | 手続き内容 |
|---|---|---|
| 転職先の業務と現在の在留資格が一致する可能性が高く、在留期限が3ヶ月以上残っている | たとえば、別の会社でも翻訳・通訳業務を行うようなケース | 就労資格証明書の取得を推奨。更新申請をスムーズにするメリットがあります |
| 転職先の業務と現在の在留資格が一致する可能性が高く、在留期限が3ヶ月未満(または曖昧) | たとえば、別の会社でも翻訳・通訳業務を行うようなケース | 在留期間更新許可申請を速やかに行いましょう |
| 業務内容が「技人国」の範囲外に変わる | たとえば、エンジニア → 調理師など、別の在留資格が必要なケース | 在留資格変更許可申請が必要です。許可を得ずに働くことは「不法就労」となり、退去強制などのリスクがあります |
転職時に必要な手続き(外国人本人・企業)
■ 所属(契約)機関の変更届(本人が提出)
転職した外国人の方は、離職や転職から14日以内に「所属機関の変更届」を出入国在留管理庁に提出する必要があります。
この届出を14日以内に行わなかった場合、20万円以下の罰金が科される可能性があります。また、虚偽の内容を届け出た場合は、1年以下の懲役、または20万円以下の罰金に処されることがあります。
もし提出期限の14日を過ぎてしまっても、そのままにせず、すぐに提出してください。
たとえ上記の罰則が科されなくても、次回のビザ更新時に、在留期間が短くなったり、更新が不許可になったりするなどの不利益が生じる可能性があります。
👉 離職と転職を同時に届出る場合の届出様式はこちら(出入国在留管理庁)
外国人雇用状況の届出(企業が提出)
転職先の雇用保険の適用事業所ではない会社は、翌月10日までに「外国人雇用状況の届出」をハローワークに提出する義務があります。
👉 外国人雇用状況届出書 届出様式はこちら(厚生労働省ホームページ)
雇用保険適用事業所の場合は、「雇用保険被保険者資格取得届」を提出することで、外国人雇用状況の届出を提出したことになります。
👉 雇用保険被保険者資格取得届 届出様式はこちら(厚生労働省ホームページ)
よくある質問(FAQ)
Q1. 転職時の就労資格証明書は必ず取得しないといけませんか?
A. 義務ではありませんが、取得を強く推奨します。
Q2. 在留期限が迫っているが、転職しても大丈夫?
A. 3か月未満なら「在留期間更新許可申請」を速やかに行ってください。
Q3. 転職後すぐに働き始めても問題ありませんか?
A. 業務内容が同じ場合は、ビザの手続きをせずに働くことは問題ありませんが、就労資格証明書の取得をお勧めします。
まとめ
外国人が日本で転職する際には、「現在の就労ビザが使えるかどうか」と「必要な手続き」を正しく理解しておくことが、キャリアの継続と生活の安定につながります。
特に重要なのは、次の3点です。
① 業務内容の適合性確認
前職と同じ、または類似する仕事内容であれば、同じ在留資格で働ける可能性が高くなります。
ただし、仕事内容が大きく変わる場合や別の在留資格に該当する場合は、「就労資格証明書の取得(任意)」や「在留資格変更許可申請」が必要です。
② 期限内の入管への届出
退職や転職をした場合は、14日以内に「所属機関変更届」を出すことが法律で義務付けられています。
期限を過ぎると、罰則や次回の在留期間更新時に不利益を受ける可能性があります。
③ 在留期限の確認
在留期限が3か月未満の場合は、速やかに在留期間更新許可申請を行う必要があります。
3か月以上残っている場合でも、将来の更新を見据えて就労資格証明書の取得をおすすめします。
注意
日本では転職の自由は認められていますが、ビザの条件を満たさずに働くと不法就労となり、退去強制や再入国禁止などの重大なリスクがあります。
最悪のケース例
転職を決意 → 転職先決定 → 前職を退職 → 転職 → 次回ビザ更新で不許可 → 在留期限が迫る → 再就職先が見つからない → 帰国せざるを得ない
上記のようなケースを避けるためにも、転職前に以下の事項を必ずチェックしてみてください。
・転職先の業務内容が現在の就労ビザの範囲に該当しているか
・ビザの変更や申請が必要かどうか
転職に不安がある場合は、安全かつ確実な手続きで進めることがたいへん重要です。
もし転職時のビザのことでお悩みがございましたら、よしもと国際行政書士・社会保険労務士事務所へご相談ください。

