【2026年最新】外国人雇用の社会保険・労働保険 完全ガイド|加入判定フロー(週20h・106万円・51人要件対応)


はじめに

外国人を初めて雇用する際に多くの担当者が戸惑うのが「社会保険」についてです。

「日本人と同じように加入させるのか?」

「在留資格によって違うのか?」

といった疑問は非常に多く寄せられます。

実は、外国人も日本人と同様に社会保険に加入する義務があります

加入手続きを怠ると、労働者本人の生活が不安定になるだけでなく、企業に法的リスクや信用低下のリスクが生じます。


この記事を書いた人

よしもと国際行政書士・社会保険労務士事務所 代表

行政書士・社会保険労務士

吉本 祐樹(Yuki Yoshimoto)


本記事では、外国人雇用における社会保険の基本から、加入条件・手続き・必要書類・注意点までをわかりやすく解説します。

この記事でわかること

・社会保険(健康保険・厚生年金)と労働保険(労災・雇用)の違いについて

・外国人も日本人と同様、要件に該当すれば健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の適用対象。国籍で区別しないのが原則

短時間労働者の適用拡大により、従業員51人以上の事業所では「週20h・月額8.8万円・学生でない・(特定)適用事業所」の4要件で社会保険加入対象へ

・社会保険に関する書類の提出先、提出期限

社会保険の種類と内容

社会保険と労働保険の違い

社会保険健康保険厚生年金保険(+介護保険:40〜64歳が加入)
※広義には下記の労働保険も含めて「社会保険」と呼ぶことも多いです

労働保険雇用保険労災保険

就労ビザを有する外国人が加入する主な制度

日本で就労する外国人が対象となる社会保険は次の4つです。加入判定は日本人と同じで、国籍は問いません加入手続きは入社後、会社が行います

労災保険:業務上・通勤途上のけが・病気を補償。保険料は会社が全額負担(従業員負担なし)

雇用保険:失業手当(基本手当)、教育訓練給付、育児・介護休業給付等。就職活動期の生活を支える仕組み

健康保険:医療費の自己負担が原則3割。傷病手当金や出産手当金等の給付あり

厚生年金保険:老後・障害・遺族年金を保障。外国人は、一定の条件を満たせば帰国後に「脱退一時金」請求可

ポイント】

・健康保険・厚生年金・雇用保険は会社と本人の保険料を折半(制度により割合は異なる)/労災は会社が全額負担

学生や短時間労働者は、制度により加入要件が異なるため、採用前に加入要否を確認要

雇用契約書・労働条件通知書で明確にしておくべきこと

雇用契約を結ぶ際には、社会保険に関する事項を契約書や労働条件通知書で明確化しておくとトラブル防止に有効です。

法令順守と責任:会社が適切に保険料を納付する義務、不履行時の対応方針

加入する制度の明示:健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の取扱い

保険料の負担割合:会社・本人の負担(労災は会社のみ)

控除の方法と時期:給与からの控除タイミング(例:当月/翌月控除 など)

手続の流れ:採用時・退職時の届出(資格取得/喪失、離職票、保険証の回収等)

加入判定フロー

Step 1:雇用契約の有無

「労働者」に該当するか?→ はいの場合、以下の各保険を判定。

※労働者に該当しないケース例 … 請負や業務委託で働く場合など個人事業として業務を請け負った場合など

A. 労災保険

雇用したら原則すべての労働者が対象(正社員・パート・アルバイト等の雇用形態や国籍を問わない)。

B. 雇用保険(①、②の両方を満たすと原則加入)

①週所定労働時間20時間以上

31日以上の雇用見込み

例外(加入不要)

昼間学生は原則除外(学生でも夜間/通信/休学中/卒業見込みは要件次第で加入対象)

・ワーキングホリデーは原則、雇用保険は適用除外

C. 健康保険・厚生年金(社会保険)

①勤務先が適用事業所か(法人は原則すべて適用事業所。個人は常時5人以上の特定業種等)

週30時間以上(概ね正社員の3/4以上)

または

短時間労働者の要件すべて満たす

各保険のポイント

労災保険

対象:雇用したすべての労働者(パート、アルバイト等も含む)

保険料負担事業主のみ(従業員負担なし)

実務:事業開始時(会社設立時、はじめての従業員雇用時)に「保険関係成立届+概算保険料申告届」を所轄労働基準監督署へ提出。業務・通勤災害発生時は、療養・休業・障害・遺族給付等を請求可能。

雇用保険(加入2要件)

・①週20時間以上、かつ、②31日以上の雇用見込みがあれば、原則雇用保険に加入

昼間学生、ワーキングホリデーは原則除外

保険料負担:会社+本人

書類提出期限:「資格取得届:雇った月の翌月10日まで」、「資格喪失届:離職日の翌日から10日以内

健康保険・厚生年金(社会保険)

適用事業所法人は原則すべて、個人は常時5人以上の特定業種等

加入

週30時間以上(正社員の概ね3/4以上)

または

短時間労働者の5要件すべて満たす(次章)。

保険料負担:会社+本人(40〜64歳は健康保険料に介護保険料を上乗せ)

書類提出期限「被保険者資格取得・喪失届ともに原則5日以内(年金事務所/事務センターに提出)

短時間労働者(週20h〜)の5要件|2024/10対応

以下をすべて満たす場合健康保険・厚生年金の加入対象になります(いわゆる106万円要件)。

週所定労働時間が20時間以上

月額賃金8.8万円以上

学生でない

2か月超の雇用見込み

⑤事業所規模(51人以上)

※詳細は厚生労働省のこちらのページをご覧ください

社会保険の加入手続きと必要書類

入社時の手続きは会社が行います。 主な提出先と書類は次のとおりです。

労災保険

主な書類労働保険関係成立届概算保険料申告(事業開始時 or はじめて労働者を雇用時)

提出先:所在地を管轄する労働基準監督署(事業主の手続)

補足:従業員ごとの個別加入手続きは不要。毎年の年度更新で申告・納付を行います。

雇用保険

主な書類雇用保険被保険者資格取得届

提出先ハローワーク

補足:所定労働時間・雇用見込み・学生区分などの加入要件に注意

※「雇用保険の手続き」について詳しく解説した記事はこちら

健康保険・厚生年金

主な書類健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届

提出先:年金事務所(または事務センター)

補足:外国人も日本人と同じ手続き

入社時に準備しておく主な書類・情報

在留カード写し(就労可否・在留期限の確認)

パスポート写し(必要に応じて)

雇用契約書(労働条件の明確化)

マイナンバー(社会保険・税手続で使用)

住民票(必要に応じて)

基礎年金番号(通知書などがあれば)

※採用前に加入要否の判定(所定労働時間・雇用見込み・学生区分等)を行うとスムーズに手続き可能です。

※在留カードとパスポートの原本を事業主が保管することは厳禁です

入社・退職の手続き期限とチェックリスト

入社(採用)時

・在留カード・在留資格の就労可否を確認(資格外活動許可の有無含む)

雇用保険 資格取得届:概ね翌月10日まで(ハローワーク)

健康保険・厚生年金 被保険者資格取得届原則5日以内(年金事務所/事務センター)

マイナンバー収集

退職時

外国人雇用状況届出(雇用保険被保険者の場合、雇用保険の被保険者資格取得・喪失届の提出により代用可、被保険者でない場合:翌月末日まで。)

健康保険・厚生年金 資格喪失届退職日の翌日が喪失日が原則)

健康保険証・資格確認書の回収

雇用保険 被保険者資格喪失届、離職証明書(必要時)

※「退職時の手続き」について詳しく解説した記事はこちら

外国人雇用で見落としがちなポイント

学生の誤判定(昼間学生は雇用保険原則除外/夜間・通信・休学・卒業見込みは要件次第)

ワーキングホリデーへの雇用保険加入ミス(原則対象外→誤って加入させた場合は、取消手続きが必要)

短時間労働者の5要件の見落とし(51人以上・8.8万円・20h・2か月超・非学生

外国人の社会保険未加入によるリスク

追徴・遡及:保険料の遡及加入・追徴や是正対応コストが発生

医療費の全額自己負担:病気・けが時に高額負担等、トラブル化しやすい

ビザ申請上の不利益:在留資格の更新・変更でマイナス評価/不許可・取消のリスク

法令違反・行政指導/罰則:会社・本人ともに指摘対象になり得る

会社の信用低下:採用・取引に悪影響

外国人の社会保険に関するよくある誤解と注意点

Q:外国人でも社会保険・労働保険は入りますか?

A. はい。就労可能な在留資格であれば日本人と同じ基準で加入します。国籍は問いません。

Q:外国人の社会保険料は全額会社が払いますか?

A. いいえ。 健康保険・厚生年金・雇用保険は会社と本人で折半します。労災保険は会社が全額負担します。

Q:昼間学生のアルバイトは雇用保険に入れますか?

A. 原則対象外です。夜間・通信・休学・卒業見込みなどは要件次第で対象になる場合があります。

Q:昼間学生を誤って雇用保険に加入させた場合は?

A. 取消手続きが必要です。ハローワークまたは社労士にご相談ください。

Q:社会保険加入書類の届出期限は?

A. 雇用保険=翌月10日まで健康保険・厚生年金=原則5日以内です(実務は各機関の案内に従ってください)。

Q:外国人は日本人より安く雇用できる

A. できません。
就労ビザの取得要件として、同様の業務に従事する日本人と同等以上の報酬を支給することが求められます。これを満たさない場合、就労ビザは許可されず、結果として雇用自体ができません。

とくに、日本で正社員として働く外国人が多く取得する「技術・人文知識・国際業務」(いわゆる技人国)では、報酬額が同等以上であることが前提要件の一つです。合理的な理由なく日本人より低い給与設定にすると、在留資格の許可が下りないことがあります。

また、報酬条件以外にも、ビザ申請のための書類準備・申請費用の会社負担、各種手続きや受け入れ体制の整備(日本人には不要なサポートを含む)など、時間・コストが日本人より増える場合も少なくありません。

まとめと今後の対応

原則:外国人の社会保険は日本人と同じ基準で判断します。

実務の要点在留資格の確認社会保険(雇用保険/健康保険・厚生年金/労災)の加入要否の確認をセットで内定前に実施

運用のコツ:基本の手続は日本人と同じです。外国人特有の追加確認(在留資格・氏名表記・マイナンバー・外国人雇用状況届出書)を覚えればOK。

外国人雇用は今後も拡大が見込まれます。企業は法令遵守と手続の標準化、労働者は権利・義務の理解を進め、互いに協力してより良い就労環境を整えていきましょう。

社会保険の手続きでお困りの方へ(当事務所のサポート)

当事務所のサポートは、①必要な業務だけを依頼できるスポット対応と、②手続きだけでなく労務に関する様々なご相談にも対応可能な顧問契約からお選びいただけます。

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社保・雇保の資格喪失、離職票の作成・提出、外国人雇用状況の届出、労災の申請等必要な業務のみをピンポイントで支援します。

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入退社手続きの代行、労働に関するご相談、雇用に関する社内規程の整備最新法令のアップデートまで、期限管理も含めて継続的に伴走します。

まずは無料相談をご利用ください。状況を伺い、最短ルートの手順と費用感をご提示のうえ、「全部お任せ」か「一部だけ依頼」かをご提案させていただきます。