外国人経営者の社会保険未加入はビザ不許可?リスクと対処法を解説【2025年最新】


2025年現在、外国人経営者の「経営・管理ビザ」の取得要件・審査は年々厳格化しています。特に入管が目を光らせているのが、社会保険(健康保険・厚生年金)や労働保険(労災・雇用保険)の加入状況です。

「会社を作ったばかりで知らなかった」

「従業員が外国人だから関係ないと思っていた」

このような理由で未加入のまま放置していると、ビザの更新が不許可になる可能性が以前に比べ高くなりました。


この記事を書いた人

よしもと国際行政書士・社会保険労務士事務所 代表

行政書士・社会保険労務士

吉本 祐樹(Yuki Yoshimoto)


この記事では、行政書士と社労士の視点から、労働保険や社会保険未加入のリスク、発覚した際の遡り請求、そしてビザ更新を乗り切るための正しい改善手順を徹底解説します。

本記事は以下の方を想定しています

・経営管理ビザで会社を運営している外国人社長

・会社を設立したが社会保険に加入すべきか分からない方

・未加入がビザ更新に影響するか不安な方

[結論] 外国人経営者でも「法人なら社会保険は強制加入」

結論から申し上げます。日本で会社(株式会社、合同会社など)を設立した場合、社長1人だけの会社であっても、社会保険への加入は義務となっています。

外国人だからといって、免除されることはありません。

「知らなかった」という理由は、入管や年金事務所には通用しないのが現実です。

社長に役員報酬を支給しない場合には、社会保険へ加入する必要はないのですが、その場合、「会社の安定性・継続性」という別の点で問題が出てきます。

社会保険・労働保険に加入していない場合の4つのリスク

未加入のまま経営を続けていると、以下の重大なペナルティが発生します。

経営管理ビザの更新が「不許可」または「1年」に

入管は、ガイドラインで「社会保険・労働保険の加入」を明確な審査基準にしています。

未加入であることは「法令遵守をしていない」とみなされ、本来であれば3年や5年出るはずのビザが「1年」に短縮されたりします。

最悪の場合、ビザ更新不許可という結果もあり得ます。

永住権申請・帰化申請への致命的な悪影響

将来的に日本の永住権(永住者ビザ)を取りたい、日本に帰化したいと考えている場合、社会保険の未納・未加入は致命傷です。

永住申請・帰化申請の両方とも、ここ数年で審査がかなり厳格化されています。そして、社会保険に関しても、直近数年間の年金・保険料の支払い実績が厳しく問われます。

過去一度でも未納期間があると、申請要件を満たさないと判断されるケースが増えています。

過去2年分の保険料を「遡及請求」される

社会保険(健康保険・厚生年金)に関していいますと、未加入が発覚するのは年金事務所の調査が入った場合や、経営管理ビザを更新する際に入管から社会保険加入を証明する資料の提示を求められて加入していないことが発覚するということが大半です。

未加入の場合、本来支払うべきであった保険料を支払っていませんでしたので、過去2年間に遡って未払いの保険料を請求されます。 さらに追加で延滞金を徴収される場合もあります。

例えば、月給30万円の社長と従業員2名の会社の場合、2年分の請求額は数百万円単位になることも珍しくありません。毎月支払っていれば微々たる金額であっても、二年近くたまってしまうとかなりの金額になってしまいます。これが原因で資金繰りが悪化し、倒産するケースもあります。

従業員のビザ更新も不許可になる

社会保険料未納の影響は、社長本人だけではありません。

「技術・人文知識・国際業務」などのビザで雇用している外国人従業員も、会社が社会保険に入っていないことで、彼らのビザ更新時にマイナス評価を受ける可能性があります。

社会保険・労働保険 加入義務の基本ルール(社長1人でも必須?)

「自分の会社は入る必要があるのか?」を確認していきましょう。

社会保険(健康保険・厚生年金)

【対象】 すべての法人(株式会社、合同会社、NPO法人など)

【加入義務】 社長1人でも強制加入です。 従業員がいなくても、役員報酬が発生している代表取締役は加入しなければなりません。ただし、役員報酬を支払っていない場合は、加入義務はありません。

労働保険(労災保険・雇用保険)

【対象】 労働者を雇用している事業所

【加入義務】従業員(パート・アルバイト含む)を1人でも雇った瞬間に加入義務が発生します。

※役員は、労働保険の加入対象外です

労災保険 : 全従業員が対象(1日だけのバイトも含む)。

雇用保険 : 週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある従業員が対象。 ※社長や役員、ワーキングホリデーで働く外国人は原則として雇用保険の対象外です。

法人の社会保険・労働保険加入義務まとめ

保険の種類加入義務が発生するタイミング社長1人会社
労災保険社員を雇用した時加入しない
雇用保険週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある社員を雇用した時加入しない
健康保険法人設立時強制加入
厚生年金法人設立時強制加入

よくある誤解とQ&A

外国人経営者の方からよく寄せられる質問にお答えします。

Q. 役員報酬0円なら社会保険(健康保険・厚生年金)に入らなくていいですか?

A. 社会保険の加入は不要ですが、ビザ更新で不利になります。

経営管理ビザの更新審査において「役員報酬ゼロ=日本で生計を立てられていない」とみなされ、ビザの更新が非常に難しくなります。

適正な報酬を設定し、保険に加入することが望ましいです。

Q. 従業員が全員外国人(または留学生)だから、社会保険や労働保険の加入は不要ですか?

A. いいえ、国籍は関係ありません。

従業員が外国人だけであっても、日本人と同様の加入条件(週の労働時間など)を満たせば、社会保険・労働保険への加入が必要です。

Q. 母国では任意加入でした。日本も同じだと思っていたので社会保険に加入していません。

A. 日本では加入要件を満たす場合は「強制加入」です。

悪意がなかったとしても、未加入の事実は消えません。すぐに手続きを開始する必要があります。

【重要】ご相談の前に知っておいていただきたい「事実確認」のプロセス

「未加入だった!すぐに手続きしてビザを更新したい!」

焦るお気持ちは痛いほど分かります。しかし、社会保険や労働保険の未加入対応は、単に加入のための書類を一枚出せば終わるというものではありません。

私たち専門家が手続きを行うためには、まず「過去の状況がどうなっていたか」という事実確認(現状分析)が不可欠です。

これには、以下のような調査が必要になります。

・いつから加入義務が発生していたのか?

・従業員の給与から保険料を控除(天引き)していたのか、していなかったのか?

・控除していなかった場合、過去に遡って支払うべき金額はいくらか? など

この調査には数日〜数週間かかることもあり、「明日までに何とかしてほしい」というご依頼には物理的に対応できないケースもあります。

だからこそ、一日でも早い着手が重要なのです。

スムーズな解決のために、ご相談前にお願いしたいこと

まずは今の状況をざっくりとで構いませんので、確認してみてください。これらが整理されていると、解決までのスピードが格段に上がります。

①社会保険・労働保険の加入状況の確認

・今、何に入っていて、何に入っていないか?(例:労災は入っているが、社会保険は未加入など)

加入申請時の控えがあればベストです。

従業員の状況(少なくとも過去2年分)

・雇用形態を問わず現在、何人雇っていますか?

・過去2年間で退職した人は何人いますか?等

給与・帳簿データの有無(少なくとも直近2年分)

労働者名簿はありますか?

賃金台帳(給与明細の控えや給与計算データ)は残っていますか?

・過去に給与から保険料を天引きしていましたか?それとも全くしていませんか?

「データが完璧に残っていないかも…」という場合でも、まずは正直にお話しください。

資料が不足していると調査は難航しますが、専門家として可能な限りの復元や対応策を一緒に考えます。

現在、入管庁は審査において、提出書類に記載がなくても「社会保険・労働保険の加入状況」を裏で厳しくチェックしています。

後から追加資料を求められて「実は入っていませんでした」と発覚するのが、審査において最も心証が悪く、不許可のリスクを高めます。

私たち社労士は取締機関ではありませんので、あなたの味方です。

あなたと会社、社員の方のビザを守るために、正確な情報が必要なのです。

複雑な計算や手続きは私たちが引き受けますので、まずは勇気を出して「事実」を共有してください。

今からでも間に合う?未加入発覚時の正しい対処ステップ

もし現在未加入であっても、できることはすべて行いましょう。

入管が評価するのは「過去のミスを認め、現在どう改善し、未来に向けてどう行動しているか」です。

以下のステップで対応を進めましょう。

STEP1:専門家への相談と現状把握

上記の「事実確認」に基づき、社労士や行政書士が「いつから加入義務があったのか」「いくら払う必要があるのか」を正確に試算します。

STEP2:法定帳簿の整備

入管や労基署に提出するための「給与台帳」「出勤簿(タイムカード)」「賃金台帳」を作成・整備します。

これらがないと申請自体ができません。

STEP3:加入手続きと遡及対応

労働基準監督署・年金事務所・ハローワークへ届出を行います。

未加入が発覚した場合の加入は、通常とは手続き方法が異なる部分がありますので、専門家の社労士に相談した方が正確かつスムーズに手続きが進みますし、当事務所の場合は監督官庁とのやり取りもすべて代行します。

場合によっては過去分の保険料を支払うことになります。

STEP4:入管への「理由書・説明書」の作成

ここが最も重要です。

ビザ更新申請の際、単に保険証のコピーを出すだけでなく、「なぜ未加入だったのか」「どのように改善したのか」「今後のコンプライアンス遵守の誓約」等を詳細に記した理由書を提出します。

これにより、すこしでも審査官の心証をよくする努力をします。

まとめ:改善の意思を見せることが最重要

・法人なら社長1人でも社会保険加入は必須。

・未加入は経営管理ビザ更新・永住権申請で致命的リスク。

・「知らなかった」は通用しないが、今すぐ改善すれば望みはある。

未加入の状態を放置すればするほど、リスクは雪だるま式に膨れ上がります。しかし、自主的に申告し、適正化を図る経営者に対して、入管や役所は一定の配慮を示してくださることもあります。

「改善したいが、手続きが複雑でわからない」

「過去の未払い分が心配だ」

「ビザの更新期限が迫っている」

当事務所は、行政書士と社労士の両方の資格を有しており、ビザの手続きと社会保険の手続きをワンストップで解決可能です。外国人経営者特有の事情を理解した上で、最適な解決策をご提案します。

手遅れになる前に、まずは一度ご相談ください。

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