退職者が出たら、5日・10日・14日・20日・翌月10日までと、すべてやることは決まっています。外国人の退職であっても、基本的に手続きする内容は同じで、外国人特有の手続きが一つから二つ加わるといったイメージです。

【この記事を書いた人】
よしもと国際行政書士・社会保険労務士事務所 代表
行政書士・社会保険労務士
吉本 祐樹(Yuki Yoshimoto)
本記事は、社会保険・雇用保険・入管・住民税に関する手続きを、何を、どこへ、いつまで行うのかにを意識して整理しました。
退職後すぐやる3点(健保厚年5日/雇保10日/入管14日)
| 期限 | 会社がやること | 提出先 | 補足・注意点 |
|---|---|---|---|
| 5日以内 | 健康保険・厚生年金の被保険者資格喪失届(保険証回収して添付) | 日本年金機構 | 保険証は退職翌日から使用不可。速やかに回収。 |
| 10日以内 | 雇用保険被保険者資格喪失届/(必要なら)離職証明書も作成・提出 | ハローワーク | 離職票は本人の希望を確認して作成。 |
| (雇用保険に加入している外国人) | ハローワーク | 雇用保険に加入していた外国人の場合は、雇用保険被保険者資格喪失届の提出で兼用可能なので提出不要 | |
| 14日以内 | 就労系在留資格:所属(契約)機関に関する届出を外国人本人が提出 | 出入国在留管理庁 | いずれも14日以内に外国人本人が提出。オンライン届出可。 |
| 20日以内 | (本人向け案内) 健康保険の任意継続の案内 | 協会けんぽ or 健康保険協会 | 申出期限:資格喪失日の翌日から20日以内。会社は周知のみで、手続きは本人が行う。 |
| 翌月10日まで | 住民税:給与支払報告・特別徴収の異動届/(該当時)一括徴収 住民税を特別徴収していた場合には、最後の給与で住民税を全て徴収するか、納付書送ってもらい自分で支払うようにするか決めてもらいましょう | 会社の所在地を管轄する市区町村役場 | 締切は概ね翌月10日。 |
| (参考)翌月末まで | 雇用保険被保険者でない外国人の外国人雇用状況届出(様式3号) | ハローワーク | 翌月末が提出期限。 |
| 退職後すみやかに | 源泉徴収票の交付(退職者分)/退職所得の源泉徴収票(支給時)/退職証明書の交付 | 従業員本人(交付) | 源泉徴収票の税務署等への提出は翌年1月末。 |
5日以内:健康保険・厚生年金「被保険者資格喪失届」+健康保険証回収
【やること】
・退職の事実発生日(退職日)から5日以内に、健康保険・厚生年金の被保険者資格喪失届を提出。
・退職者本人・扶養家族分の健康保険証、高齢受給者証・限度額適用認定証、資格確認書を回収して添付。
【重要ポイント】
・健康保険証は退職日の翌日以降は使用不可。使用すると医療費の返還を求められます。
・退職時に、市区町村役場で国民健康保険(国保)に加入する手続きをするよう案内してください。
【補足】
・会社員として再就職する場合は、入社先で健康保険に加入します。
・退職から次の入社まで空白期間(無職期間)がある場合、原則として国保への加入手続きが必要です。
退職時の健康保険証・資格確認書の回収
有給消化中などで従業員が保険証等を手元に持っている場合は、扶養家族分も含めて返却するように指示してください。
どうしても回収できない場合は、「被保険者証・資格確認書回収不能届」(協会けんぽ様式)を提出することで対応可能です。
退職者(外国人を含む)へ案内すべき選択肢
①新しい会社で健康保険に加入(退職から入社まで空白なしの場合。通常、本人側の追加手続きは不要)
②国民健康保険に切替(最も一般的)
➂健康保険の任意継続被保険者制度の利用(条件あり・後述)
健康保険の任意継続
次の就職先が未定なら、退職後も最長2年間、在職時の健康保険を任意継続できます。
在職中は会社と折半だった保険料が、任意継続では全額自己負担(会社負担分も含む)となります。自己負担額は約2倍が目安です。
申請は本人が行い、資格喪失日の翌日から20日以内が申出期限です。期限を過ぎると加入できないのため注意してください。
10日以内:雇用保険「被保険者資格喪失届」+ 離職証明書(必要時)
【やること】
・被保険者でなくなった翌日から10日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届を提出(提出先:ハローワーク)。
・退職者が離職票を希望する場合のみ、雇用保険被保険者離職証明書を添えて申請し(提出先:ハローワーク)、離職票を交付してもらい、それを本人へ郵送します。
【重要ポイント】
・離職票は失業給付(基本手当)の手続きに必須。発行が遅れると退職者の生活に直結するため、速やかに対応。
※自己都合退職の場合は、通常、雇用保険に1年以上加入した人しか失業給付(基本手当)は受給できません
※事前に本人の希望(離職票の要否)を確認し、希望がなければ作成不要。
・離職理由(自己都合・会社都合等)は、どちらを選択したかにより、失業給付(基本手当)受給の要件に影響を与えます。就業規則・退職届・解雇通知等と必ず整合するように正確に記載する。
・退職日・賃金締切日・賃金支払基礎日数の記入ミスに注意(給付額・待期期間に影響)。
・受理後に届く資格喪失確認通知書は、会社控えとして保管。
外国人雇用状況の届出
退職者が雇用保険の被保険者だった外国人の場合、雇用保険資格喪失届の提出で「外国人雇用状況の届出」を兼用できますので、別途提出する必要はありません。
一方、退職者が雇用保険の被保険者ではない外国人の場合、「外国人雇用状況の届出 様式3号」(厚生労働省)を翌月末までに届出します。
14日以内:入管届出(本人の「所属(契約)機関に関する届出」(就労系ビザ)
所属(契約)機関に関する届出は、入社時・退職時に本人が届出をする必要があります。提出を忘れる方が多いので、会社の方から外国人の方へご案内をお願いします。
誰が:退職した外国人本人が提出
何を:「所属(契約)機関に関する届出(出入国在留管理庁)」を入管へ提出します(オンライン可)
期限:退職(契約終了)日から14日以内
記載例:在留カード番号/退職日/前所属機関名・所在地 等
メモ:転職先がすでに決まっている場合は、退職と入社を同時に届出できるフォーム(出入国在留管理庁)を提出します。
20日以内:任意継続(本人)を案内
【やること】
・会社は、選択肢のひとつとして任意継続被保険者制度を案内
・本人が資格喪失日の翌日から20日以内に申出を行う。
【注意点】
・期限厳守:20日を過ぎると加入不可。
・対象要件:退職前に継続2か月以上の被保険者期間があること。
・保険料:在職時は会社と折半→任意継続は全額自己負担(目安は実質2倍)。
・期間:最長2年。
翌月10日まで:住民税の異動届出・納入
提出:従業員の居住市区町村へ給与所得者異動届出書を、異動月の翌月10日までに提出。
納入:特別徴収の納期限も翌月10日(原則)。
実務ポイント:特別徴収していた場合は、最終給与で全額徴収するか、納付書で本人払いにするか、事前に本人に確認。
これも忘れずに
・退職者へ給与所得の源泉徴収票、退職金支給時は退職所得の源泉徴収票(対象となる場合のみ)を発行
・外国人の場合、退職証明書の発行を求められるケースが多いので、退職時に渡すようにするとよいでしょう
・帰国予定者へ脱退一時金の情報提供(参考)
※脱退一時金は出国後2年以内に請求要(一定の条件あり)。
・就労ビザで在留している方は、正当な理由なく本来の活動を一定期間(3ヶ月以上)行わないと、ビザの取消し対象になり得ますので、転職活動が長引く場合は注意が必要です
よくある質問(FAQ)
Q1. 離職票はどうやって受け取れますか?
A. 会社がハローワークに離職証明書を提出→ハローワークが離職票を会社へ交付→会社が本人へ郵送、という流れです。
退職時に離職票の要否と送付先を確認しておくとスムーズです。
Q2. 離職票が準備できるまでどのくらいかかりますか?
A. 目安は10〜14日程度です(時期や書類不備で前後)。
急ぐ場合は、賃金台帳・出勤簿・退職理由の根拠書類を早めに揃えましょう。
Q3. 有給消化中ですが、保険証はいつまで使えますか?
A. 退職日まで有効です。翌日以降は使用できません。
本人・扶養家族分を必ず回収してください。回収できない場合は回収不能届を提出して対応します。
Q4. 国民健康保険と任意継続、どっちが良い?
A. 比較ポイントは、保険料・扶養可否・切替の手間(期限)です。
国民健康保険:保険料は居住する市区町村役場で確認します。
迷ったら両方の保険料を試算し、任意継続の20日以内の期限を厳守してください。
健康保険の任意継続:全額自己負担(在職時の概ね2倍が目安)、最長2年、申出は資格喪失日の翌日から20日以内。保険料は協会けんぽ(全国健康保険協会)または加入していた健康保険組合で確認します。
退職時チェックリスト
☑ 退職日確定/離職票要否確認
☑ 健康保険・厚生年金:資格喪失届(5日)
☑ 保険証・資格確認書回収
☑ 雇用保険:資格喪失届(10日)/離職証明書(必要時)
☑ 外国人雇用状況の届出:雇用保険被保険者→喪失届で兼用可/非被保険者→様式3号(翌月末)
☑ 入管:本人へ14日以内届出を案内
☑ 任意継続:20日期限を周知(書面)
☑ 住民税異動届(翌月10日)
☑ 源泉徴収票+退職証明書交付
☑ 脱退一時金の案内(帰国する場合のみ)
お困りの方へ(当事務所のサポート)
当事務所のサポートは、①必要な業務だけを依頼できるスポット対応と、②手続きだけでなく労務に関する様々なご相談にも対応可能な顧問契約からお選びいただけます。
・スポット対応(単発)
社保・雇保の資格喪失、離職票の作成・提出、外国人雇用状況の届出、入管の14日届、保険証未回収時の届出・文例提供など、必要な業務のみをピンポイントで支援します。
・顧問契約(継続)
入退社手続きの代行、労働に関するご相談、雇用に関する社内規程の整備、最新法令のアップデートまで、期限管理も含めて継続的に伴走します。
まずは無料相談をご利用ください。状況を伺い、最短ルートの手順と費用感をご提示のうえ、「全部お任せ」か「一部だけ依頼」かをご提案させていただきます。
