所属機関等に関する届出を忘れたら?転職・退職後の未提出リスクと対処法を解説


はじめに

退職や転職をした場合、就労系の在留資格をお持ちの方は、原則として「所属機関等に関する届出」が必要です。

ところが、

・本人がそもそも「所属機関等に関する届出」の存在を知らない

・会社が出してくれていると思っていた

・更新申請中に入管から連絡が来て初めて気づいた

…というケースが少なくありません。

当事務所でも、依頼者様の在留期間更新手続中に、出入国在留管理庁から「所属機関等に関する届出の未提出があるので早急に届出してください」と連絡が入り、そこで届出漏れが判明することがよくあります。


この記事を書いた人

よしもと国際行政書士・社会保険労務士事務所

行政書士・社会保険労務士

吉本 祐樹(Yuki Yoshimoto)


この記事では、「所属機関等に関する届出」を忘れていた場合の最優先対応放置した場合のリスク、そして会社側での再発防止策まで、実務目線で整理します。

結論:届出漏れに気づいたら、今すぐ提出が重要

・提出期限は原則「事由発生日から14日以内」
・14日を過ぎても免除ではなく、判明した時点で速やかに提出
・未届のままだと更新・変更の審査が止まる・遅れる原因になり得る
・届出漏れの罰則(20万円以下の罰金)が規定されている
・提出後に「許可通知」はないため、控え(受付画面・郵送控え)を保存

所属機関等に関する届出とは

就労系の在留資格などで、日本で活動する前提になっている「所属先(勤務先・契約先)」が変わったときに、原則として本人が入管へ届け出る制度です。

典型例はこの2つです。

退職した:契約が終了した

転職して入社した:新たな契約を開始した

※会社の社名・所在地変更も届出が必要になります

重要:「所属機関等に関する届出」は外国人の雇入れ及び離職の際に、会社が提出する「外国人雇用状況の届出」は別物です。

「会社がやってくれているはず」と思い込むと、未届が起きやすくなります。

所属機関等に関する届出を忘れていることに気づいたらやるべきこと

出し忘れに気づいたら、やることはシンプルです。

未届の内容を特定する(どの退職・転職時の届出漏れかを特定します)

最短の方法で提出する(ネット、郵送どちらでもOK)

提出した証拠(控え・受付画面、簡易書留郵便など)を保存しておく

ビザ更新申請中に所属機関等に関する届出の提出漏れが発覚すると、審査のタイミングで入管側から確認の連絡が入ることが多く、結果として審査が止まる・遅れる原因になります。

対応策としては、即提出するのが基本です。

14日を過ぎていても「出さなくていい」にはなりません

所属機関に関する届出は、退職や入社等の届出事由の発生日から14日以内に入管へ提出しなければなりません。

「もう14日を過ぎてしまったから、出しても意味がないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、未提出が判明した場合は、判明した時点で速やかに届け出るべきということが入管のQ&Aでも案内されています。

つまり、14日を過ぎた=免除ではありません。気づいたらすぐ提出が原則です。

届出が「不要」になる場面:新規入国(COE)の直後

海外から「在留資格認定証明書(COE)」を取得して入国した場合は、“変更が発生していない”ため、通常は届出の対象になりません。

その後、その会社を退職した時・別の会社へ転職した時は、入管としてはどの会社に所属しているかは届出がないと、リアルタイムにどの会社に所属しているか・仕事をしているか状況を把握できないので、届出が必要になります。

「新規入国だからずっと不要」という意味ではないので、ここは誤解しないよう注意しましょう。

【一覧表】届出が必要な人/不要な人(目安)

実務で一番多い誤解が、「自分は届出が必要なのか分からない」です。目安は下記の通りです。

在留資格区分退職・転職での届出
就労系(勤務先が前提)技人国、技能、企業内転勤、特定技能、高度専門職など必要になることが多い
留学・研修(学校等が前提)留学、研修など必要(学校等の変更届が中心)
身分・地位系(勤務先が前提ではない)永住者、定住者、日本人の配偶者等など原則不要(※別の届出が問題になることはあり得る)

※最終的には個別事情で変わることがあります。更新申請中に入管から指摘が来ている場合は、その指摘を起点に未届を特定して是正するのが安全です。

転職の場合は「1回の届出で終わらない」ことがある

転職の流れによっては、届出が「1回」では済まないケースがあります。

例えば:退職 → しばらく次が未定 → その後入社

この場合、退職から14日以内に届出を提出しなければならないので、転職先がまだ決まっていない場合は、ひとまず「退職(契約終了)の届出」を出し、次が決まったら「入社(契約開始)の届出」を出すという、計2回の対応が必要です。

※転職先がすでに決定している場合は、退職と入社を一枚で届け出る書式を使用します。

提出したら“許可通知”は来ない(資料を残しておくことが大事)

この届出は「許可」が出るものではありません。提出後に通知が来ないため、「出したかどうか忘れた」という状態になりがちです。

必ず、提出したことが分かる証拠(控え・受付完了画面・送信記録など)を保存し、パスポート等と一緒に保存しておくことが重要です。

放置するとどうなる?現実的なリスク

更新・変更の審査が止まる/遅れる

入管から「まず届出をしてください」と求められ、追加対応が発生します。

結果として審査が進まず、会社・本人双方の負担が増えます。

※はじめての届出漏れ等の場合は、至急提出するように連絡が来て、提出するまでにビザ更新の許可が出る場合もあります。しかし、複数回届出漏れを繰り返していると、届出を確認してからビザの審査結果が出るということになりますので、ご注意ください。

追加資料・事情説明が必要になる

放置期間が長いほど、「なぜ未届だったのか」の整理が必要になり、以前所属していた会社にも確認が必要になるケースが発生します。

法令軽視の印象につながる可能性

他の手続きも含めて「管理が甘い」、「法律を軽視している」と見られやすくなります。

更新申請中の“余計なリスク”を増やすのは避けたいところです。

永住申請を考えている人は要注意

永住審査では「法令遵守」がより重視されます。

軽微な違反ではありますが、このような未届が長期間放置されていると、「法令遵守の意識が弱い」と評価され、不利に働くリスクがあります。

永住を見据えている方ほど、特に注意が必要です。

罰則の規定がある(20万円以下の罰金)

届出義務に違反した場合、20万円以下の罰金に処せられることがあります。

実務上はまず是正(提出)を求められることが多いですが、更新・変更の審査が止まる原因にもなるため、気づいた時点で速やかに提出しましょう。

なぜ提出漏れが起きる?

届出を忘れた理由として最も多いのは、以下の2つの理由からです。

所属機関等に関する届出の存在を知らなかった

会社がやってくれていると思っていた

基本的に、入管実務において「そのような制度があることを知らなかった」ということは通用しません。

外国人の方が自らすべき義務を把握し、責任をもって自ら手続きを行うようにしましょう。

人事が混同しやすい「別の手続き」

ハローワークへの届出(外国人雇用状況の届出)

会社が 雇用保険の資格取得届/喪失届 を提出している場合、通常は 外国人雇用状況の届出を提出した扱い となるため、別途この書類の提出は不要です。

社会保険・雇用保険の手続き(資格取得/喪失)

社会保険・雇用保険の資格取得/喪失は、入退社時に必須の重要手続きです。

ただし、これを行ったからといって、入管の「所属機関等に関する届出」が不要になるわけではありません。

結論

社会保険・雇用保険の手続き=労働・社会保険の手続き

所属機関等の届出=入管への手続き

同じ「入退社」時に必要になる手続きでも、提出先が違うため別対応が必要になります。

会社側(人事・総務)でできる再発防止チェックリスト

入社時

・退職・転職で「入管の届出」があることを説明する

提出した証拠(控え等)を残しておくようにアドバイスする

退職時

・退職日確定と同時に「入管への届出が必要」と案内

提出した証拠(控え等)を残しておくようにアドバイスする

よくある質問(FAQ)

Q1. 所属機関等の届出の提出を忘れていたのですが、今から出しても大丈夫ですか?

A. 大丈夫です。

気づいた時点で速やかに提出しましょう

提出期限の14日を過ぎていても、提出が不要ということにはなりません。

Q2. 更新申請中に「所属機関等に関する届出」の未提出を指摘されました。不許可になりますか?

A. この届出漏れだけを理由に、直ちに不許可になると断定はできません。

ただし、入管側が事実関係の確認をする必要が出るため、審査が一時停止したり、審査期間が延びたりする原因になり得ます。

また、提出義務を守っていないわけですから、不許可にはならなくても、将来的にマイナスの評価を受ける可能性はあります。

まずは、未提出分を速やかに提出しましょう

提出後は、入管から追加確認が入ることもありますので、提出日・提出内容(控え等)を手元に残し、問い合わせがあれば説明できる状態にしておくと安心です。

Q3. 会社が代わりに出してくれますか?

A. 制度上は本人届出が基本です。

提出のサポートをしてくれる会社もあるかと思いますが、基本的には本人が責任をもって提出しましょう。

Q4. 退職しましたが次の会社が決まっていません。どうすればいいですか?

A. まず退職(契約終了)の届出を先に出してください。

転職先が決まったら入社(契約開始)の届出を提出してください。

Q5. 所属機関等に関する届出の未提出は、永住申請に影響しますか?

永住は「法令を守っていること」を他のビザ申請より厳しくチェックされるため、未届の放置はマイナス評価を受ける可能性があります。

未届が1回あるだけで即不許可とはなりませんが、「複数回の遅延」や「長期間の放置」は厳しい評価を受ける可能性が高いです。

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まとめ

新規入国(COE)直後は変更が発生していないため、通常は届出の対象になりませんが、その後に退職・転職した場合は届出が必要になります。

「所属機関等に関する届出」は、退職・転職などで所属(勤務先・契約先)が変わったときに、原則本人が入管へ届け出る手続きです。

提出期限は原則14日以内ですが、期限を過ぎても免除にはなりません。気づいた時点で速やかに提出しましょう。

未届のまま放置すると、更新・変更の審査が止まる・遅れる、追加説明が必要になるなど、実務上の負担が増えやすくなります。

この届出は提出しても「許可通知等」がないため、受付画面・控え・郵送控えなど提出した証拠を必ず保存してください。

会社のハローワークへの手続き(外国人雇用状況の届出)や、社会保険・雇用保険の資格取得・喪失は別手続きです。混同が未届の原因になりやすいので要注意です。

再発防止として、会社側(人事・総務)は入社時・退職時に「所属機関等に関する届出が必要」だと案内し、控えの保存までセットで周知するのが届出漏れには有効です。