はじめに
外国人採用で最も利用される就労ビザが「技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)ビザ」です。
しかし、学歴・実務経験と職務内容の関連性、会社の安定性・継続性、給与水準など、審査で重視されるポイントを正しく理解していないと、許可が下りず採用計画に支障をきたすこともあります。

【この記事を書いた人】
よしもと国際行政書士・社会保険労務士事務所 代表
行政書士・社会保険労務士
吉本 祐樹(Yuki Yoshimoto)
この記事では、技人国ビザの取得要件から申請手続き、更新・転職・退職のルール、家族帯同まで最新情報を網羅的に解説します。
人事担当者・採用担当者はもちろん、これから申請を控える外国人本人も、この記事を読むことで不許可リスクを回避し、スムーズに就労を開始できる流れを理解できます。
技人国ビザ取得の全体フロー(早見表)
内定・採用決定
↓
取得要件の確認(学歴 or 実務経験、業務内容、給与水準)
↓
必要書類の準備(企業側・本人側)
↓
入管への申請
↓
審査(専攻と業務内容の関連性・会社の安定性、給与水準など)
↓
許可・在留カード交付
↓
就労開始
↓
更新・転職・退職・家族帯同など各種手続き
👉 技人国ビザは、採用決定 → ビザ取得要件確認 → 書類準備 → 入管申請 → 許可 → 就労開始 → 更新等 という流れで進みます。
技人国ビザとは?
技人国ビザとは、
本邦の公私の機関との契約に基づき、
自然科学(理学・工学など)または人文科学(法律学・経済学・社会学など)に属する技術・知識を要する業務、
外国の文化に基盤を有する思考、感受性を必要とする業務
に従事するための在留資格です。
※教授・芸術・報道、経営・管理、法律・会計、医療、研究、教育、企業内転勤、介護、興行などに該当する場合は、技人国の対象とはなりません
技人国ビザの対象となる職種
技人国ビザの対象職種例
・ITエンジニア、プログラマー、システム設計
・CADエンジニア、設計・開発職
・通訳・翻訳
・海外営業、貿易事務
・デザイナー、マーケティング担当
👉 学歴・実務経験と職務内容の関連性 を示すことが重要です。
技人国ビザの対象外職種例
・工場ラインでの組立・加工・検品・梱包
・倉庫での仕分け・ピッキング・運搬
・飲食店のホールスタッフ・調理補助
・ホテル等の清掃・客室係
・農業・漁業などの現場作業
👉 これらは単純労働に該当すると入管に判断され、技人国ビザの対象外とされています。これらの業務で雇用しようとする場合は、「技能実習」や「特定技能」等、他の在留資格の取得を検討 します。
技人国ビザの取得要件
① 学歴ルート または ② 実務経験ルート
学歴ルート:大学卒、大学院卒、短大卒、専門学校卒
実務経験ルート:学歴がなくても原則10年以上の実務経験(従事業務と一致)
③ 高度な専門的・技術的業務であること(単純労働は不可)
・申請職務が特定の分野で一定水準以上の知識や技術を要する業務であること
・単純労働は不可
④ 受入機関(会社)の安定性・継続性
・本邦の公私の機関であること(日本国内の会社との間で契約が締結されていること)
・事業が適正に行われており、安定性・継続性があること
・必要な許認可等を取得していること
⑤同様の業務に従事する日本人と同等以上の給与水準
・給与は同様の業務に従事する日本人と同等以上であること
・給与規程、同様の業務に従事している日本人の賃金台帳や給与明細等で同等性を立証
外国人であることを理由に不当に賃金額を低くすることは認められません。
技人国の在留期間
認めれらるビザの期間は、5年、3年、1年又は3月のいずれかの期間になります。
申請別:使い分け早見
・在留資格認定証明書交付申請:海外在住者を新規に呼び寄せるとき
・在留資格変更許可申請:留学等ほかの資格から技人国へ切替するとき
・在留期間更新許可申請:技人国ビザの期間を更新するとき
・就労資格証明書交付申請:転職をした場合に、転職先の業務が技人国で認められた内容か確認をするとき(取得は任意)
技人国の主な必要書類
外国人本人が準備
・写真
・パスポート写し
・履歴書・職務経歴書
・卒業証明書・成績証明書(学歴ルートの場合)
企業側が準備
・登記事項証明書
・直近の決算書・損益計算書
・会社案内
・雇用契約書
審査のポイントと不許可リスク
不許可になりやすいケース
・学歴と職務の関連性が弱い
・会社の安定性・継続性に疑義(赤字決算が継続している等)
・業務内容が単純作業
・書類不備、虚偽記載
不許可対策
・成績証明書記載の具体的な履修科目等を引用し、職務内容との関連性を具体的に示す
・業績改善のための事業計画書や資金繰り表を作成し、以後の安定性・継続性を示す
・業務内容が単純労働と誤解されないよう記載(業務風景を撮影した写真や業務の専門性がわかる資料を添付)
・書類の正確性を最優先(ビザ申請を専門とする行政書士に依頼を検討)
技人国ビザの更新手続き
・在留期限満了の3か月前から申請可能
・主な提出書類:在留カード、パスポート写し、在職証明書、源泉徴収票、直近決算関連資料等
【更新で問題になりやすいケース】
・転職して業務内容が変更になったり、給与が下がった場合
・給与減額
・会社の業績が悪化
転職・キャリアチェンジの場合(技人国)
・同一分野への転職:在留資格(技人国)ははそのままでOK(念のため、就労資格証明書の取得推奨)
・類似分野への転職:就労資格証明書の取得推奨(任意)
・異なる分野への転職:在留資格変更許可申請が必要
ex. 機械エンジニア(技人国) → 外国料理の料理人(技能)、 会社設立(経営・管理)
退職から再就職まで(3か月ルール)
・退職後は 14日以内 に「所属機関に関する届出」提出
・正当な理由なく3か月以上無職 → 在留資格が取消されるリスク
・再就職が難しい場合 → 特定活動(就職活動)ビザへ切替を検討
技人国ビザを持つ人が家族を呼ぶ場合(家族滞在ビザ)
・呼べるのは配偶者・子のみ
・主たる在留資格者に安定収入が必要
・配偶者・子の就労:資格外活動許可で週28時間以内パート可(フルタイム不可)
よくある質問(FAQ)
Q. 専門学校卒でも技人国ビザを取得できますか?
A. 「専門士」の称号があり、学んだ内容と職務が関連していれば申請可能です。
Q. 赤字決算でも技人国ビザは通りますか?
A. 補足資料(事業計画書や資金繰り表等)で事業の安定性・継続性を示せれば許可される可能性があります。
Q. 技人国で家族を呼ぶことはできますか?
A. 収入要件を満たせば配偶者・子を家族滞在ビザで呼び寄せられます。
Q. 技人国ビザの取得に社会保険加入は関係ありますか?
A. 直接の法的要件ではありませんが、会社が未加入の場合は「適法な雇用環境が整っていない、会社の安定性・継続性が認められない」と判断され、不許可になる可能性が高いです。
Q. 技人国の申請において、申請者本人の素行歴は審査に影響しますか?
A. はい。過去の入管法違反や刑罰歴、税金の未納などがある場合はマイナス要因です。
軽微かつ改善済みであれば許可されるケースもあります。
Q. 技人国の在留期間は最初から5年もらえますか?
A. 申請人本人・会社側双方の事情を考慮して在留期間は決定されますが、初めて外国人を雇用する会社では1年または3年が多いです。
ただし、大企業はもちろん、中小企業であっても外国人雇用の年数が長く、事業の安定性や契約の継続性があると判断された会社では、初回から5年が出るところも少なくありません。
4つに区分される会社のカテゴリーにより、おおよそ年数は予測可能です。
まとめ
・技人国ビザは、外国人を専門職として採用する際の基本的な就労ビザ
・学歴ルート または 実務経験ルート(原則10年以上) のいずれかで取得可能
・不許可要因は「学歴と業務関連性不足・単純労働・会社の安定性・継続性不足」が多い
👉 当事務所は 行政書士 ・ 社会保険労務士 のダブル資格を活かし、ビザ申請から労務管理まで一貫サポートします。
関連記事はこちら
👉 第1弾:学歴要件編|専攻と業務内容の関連性チェック
👉 第2弾:実務経験要件編|10年ルールの証明方法
👉 第3弾:更新手続き編|不許可になりやすいケースと回避策
就労ビザ更新とは?流れ・書類・不許可理由まで行政書士が徹底解説
👉 第4弾:転職編|
①技人国ビザで転職する際の手続き完全ガイド|就労ビザ変更の流れと注意点
➁技人国ビザの転職で役立つ!就労資格証明書のメリットと申請ガイド
➂就労資格証明書の書き方と不許可を防ぐポイント|行政書士が解説(記入例・サンプルあり)
👉 第5弾:退職編|3か月ルール・所属機関変更届・特定活動ビザ切替
外国人の退職手続き|会社がやることを期限別に完全解説(5日・10日・14日・20日・翌月10日)
👉 家族帯同編|配偶者・子どもの呼び寄せと就労条件

