外国人社員の生活支援について


外国人社員が日本で安心して生活できる環境を提供することは、企業の社会的責任であり、社員の定着率向上や企業イメージの向上にもつながります。外国人労働者の雇用には、労働面だけでなく生活面での支援も強く求められます。


特に初めて日本に来る外国人社員にとって、言葉がうまく通じない中で、慣れない異国での新生活が始まるため、不安でいっぱいなはずです。そのため、彼らが少しでも早く日本での生活に慣れるよう、企業の支援は欠かせません。


以下に、生活支援に特化した具体的な企業の取り組みをまとめましたので、企業の皆様にも彼らに対して積極的な配慮をお願いします。


入国前の支援

寮や社宅の提供や賃貸住宅の契約支援

外国人社員が安心して生活を始められるよう、まずは住む場所の確保が必要です。住居の確保は外国人労働者にとって最も重要な部分の一つであり、快適で安全なものであるかどうかを確認することが大切です。可能な限り個室がある部屋を選ぶと良いでしょう。


まず、寮、社宅、賃貸住宅の契約を検討しますが、どれを選択すべきかについては法律上特に規定はありませんので、どの形態でも問題はありません。ただし、技能実習や特定技能の在留資格で雇用し複数人を一つの家に住ませる場合、一定の広さを求められますので注意が必要です。マンションを契約する場合は、会社名義で契約し、代表が連帯保証人になることが、最も契約をスムーズに進める方法になります。


もし可能であれば、事前に本人の希望する部屋の広さや家賃、間取りなどを聞いてあげ、本人に物件を選ばせることができれば理想的です。また、物件を選ぶ際のポイントとして、エアコン、インターネット環境は必須ですので、可能な限りこれらが整った物件を探してあげてください。


なお、結婚している社員を外国から呼び寄せる場合、よくある住宅の問題があります。


最初は一人で来日し、日本の生活にも慣れ、家族を呼びたいと思ったときに、住んでいるマンションが単身用である場合、家族を呼ぶことができません。
家族を呼ぶためには、一定の広さがあり、複数人が居住可能な物件である必要があります。一度単身用のマンションに入居し、1年以内にそこから家族を呼ぶために別のマンションに移る場合、違約金が発生することが多く、また新たにマンションの契約や手続き費用がかかるなど、出費が増えることになります。


そのため、配偶者がいる社員で配偶者をすぐに呼ぶ予定がある場合、あらかじめある程度の広さがあり、複数人が入居可能なマンションを契約するように勧めてあげてください。


電気・ガス・水道の契約支援

生活に必要な公共料金の契約に関しても、社員が来日する前に契約を済ませ、問題なく使用できるか確認しておく必要があります。また、ガスの契約は立ち会いが必要になります。可能な限り社員が来日する前にすべて終えておくことが理想的です。


また、支払い方法や請求について分からないことも多いと思いますので、最初の3ヶ月程度は特に注意してサポートを行いましょう。


家具・家電・日用品の支援

日本で生活を始める外国人労働者にとって、家具や家電の準備は大きな金銭的負担となります。特に、エアコン、洗濯機、冷蔵庫といった大型家電はもちろん、電子レンジや炊飯器、布団なども日常生活において不可欠なものです。できるだけ、会社がこれらを負担して準備してあげることが望ましいでしょう。
また、入国後すぐに生活ができるように、食器やティッシュなどの最低限の日用品も同時に購入してあげてください。

入国後の支援

住民登録の手続きサポート

外国人社員が日本に入国して最初に行うことは、市区町村役場での住民登録(転入届の提出)です。入国後14日以内に手続きを行う必要があります。


手続きが完了すると、在留カードの裏面に住所が記載されます。また、その際にマイナンバーカードの発行手続きも行っておきましょう。ただし、その場でマイナンバーカードは発行されません。


この手続きを外国人が一人で行うのは難しいため、同行して手続きをサポートしてあげてください。なお、会社入社後には社会保険の手続きが必要ですが、マイナンバーを把握するために住民票を1通取得しておくと良いでしょう。


銀行口座の開設支援

住民登録が完了すると、銀行口座の開設が可能になります。通常、必要書類は在留カードやパスポートで、もし印鑑があればそれも必要です。会社側で給与振込口座の指定がない場合は、外国送金が可能な銀行を選ぶと、後々母国への送金が便利です。


外国人社員を銀行に連れて行った際には、ATMの使用方法を教えてあげてください。最近では多言語対応のATMも増えてきていますが、基本的な操作方法を事前に教えておくと安心です。


携帯電話やインターネットの契約支援

外国人にとって、携帯電話やインターネットは、ビザ(在留資格)やお金と並ぶほど重要なものです。言葉が通じない中でネットが使えないとなると、家族や友人と連絡が取れず、非常に不安になります。


携帯電話やインターネットの契約はプランが複雑で、支払い方法などもわかりづらいため、必ず同行してサポートを行ってあげてください。通話はLINEなどのアプリを使用することが多いため、データSIMの契約だけで十分という人もいます。彼らが通話、ネットサーフィン、動画視聴をどの程度行うかをよく聞き、最適な契約を選ぶことが大切です。


例えば、あるキャリアでは30ギガ以上使用しても月額3,000円のシンプルなプランがあります。このような契約であれば、家のインターネット契約が不要になる場合もあります。


ごみの分別・捨て方に関する指導

外国人社員には、ごみの分別や捨て方をしっかりと教えてあげてください。住む場所によって、ごみの分別や捨て方が異なるため、地域ごとのルールを守ることが非常に重要です。


特に、普通ゴミと粗大ゴミの違いについてもしっかりと説明し、適切に分別して捨てるよう指導をお願いします。また、ごみを捨てる曜日も地域ごとに決まっているため、曜日を守って出すことが大切です。分別や曜日を守らないと、後々オーナーやご近所とのトラブルの原因にもなりかねません。


さらに、住宅のルールにも従うことが大切です。ごみの捨て方を理解し、守ることで周囲との良好な関係を保つことができます。彼らも最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、丁寧にサポートしてあげてください。また、絵で分かる資料があると、より分かりやすくなります。

日本語能力向上支援

来日してから日本語をしっかり学ぶことは、職場でのコミュニケーションや日常生活において不可欠です。会社が日本語教育プログラムを提供することで、外国人社員は仕事や生活に自信を持ち、言葉のストレスが減ります。これにより、社員は上司や同僚と円滑なコミュニケーションが可能となり、業務効率が向上します。


また、会社にとっても、社員が日本語で自信を持ってコミュニケーションを取れるようになることで、仕事の質が向上したり、サポートする事項も少しずつ減らすことができるようになります。具体的な支援方法として、以下のようなものが考えられます。


日本語勉強会の開催

週に1回、会社が契約した日本語の先生が来社し、業務終了後に日本語勉強会を実施している会社があります。また、他の拠点ともZOOMでつなぎ、入社3年未満の社員を参加させています。


日本語学習用のアプリの使用

日本語学習用のアプリを会社が契約し、社員に利用させて日本語能力の向上を図っている会社もあります。各国の言語に対応しているアプリもあり、日本語レベルを選べたり、来日前から使用できるため、事前学習にも適しています。



資格手当の導入

日本語学習のモチベーションを高めるため、資格手当を導入している企業もあります。
一例:日本能力試験 N3…2,000円 N2…5,000円 N1…10,000円

日本文化を理解するための支援

日本の文化や習慣についてのオリエンテーションと研修

日本の文化や習慣を理解するためのオリエンテーションや研修を実施し、異文化理解を深めます。同時に、自社の就業規則や社内ルール、安全衛生についても説明し、会社の方針をしっかりと伝えることで、職場でのトラブルやケガの予防に繋がります。


社外での交流イベントや地域活動の参加

社内外での交流イベントや地域活動に参加することを促進し、外国人社員が社会的なつながりを築けるようサポートします。社員同士のコミュニケーションを円滑にし、地域の夏祭りに参加することなどにより日本文化への理解も深めます。


入社直後の歓迎会、社員旅行・飲み会等社内イベントの開催

入社直後に歓迎会を開催し、普段接することの少ない社員との交流を促進します。また、お花見、社員旅行や飲み会などに参加することで、外国人社員が日本文化を体験し、愛着を深めながら職場内の絆も強化します。


取引先の会社見学

自社だけでなく、取引先の会社見学を行い、他社の企業文化を学ぶ機会を提供します。これにより、外国人社員の視野が広がります。