特定技能ビザ


「特定技能」は、深刻化する人手不足に対応するため、特定産業分野において一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人労働者を受け入れるためのビザ制度です。日本政府は、特定の分野での人手不足を解消するため、外国人労働者の受け入れを拡大しています。受け入れが可能な業種は下記の特定産業分野に限定されていますが、 今後も人手不足が深刻な分野へ拡大される可能性は高いです


特定技能の種類

特定技能には、特定技能1号と特定技能2号の2種類の在留資格があります。

  • 特定技能1号は、特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
  • 特定技能2号は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。


特定産業分野(特定技能外国人を受け入れ可能な業種)
分野 従事する業務
介護 ・身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴,食事, 排せつの介助等)のほか,これに付随する支援業務(レクリ エーションの実施,機能訓練の補助等)       (注)訪問系サービスは対象外
ビルクリーニング ・建築物内部の清掃
工業製品製造業

・機械金属加工  ・電気電子機器組立て  ・金属表面処理  ・紙器・段ボール箱製造
・コンクリート製品製造  ・RPF製造  ・陶磁器製品製造  ・印刷・製本  ・紡織製品製造  ・縫製

建設

・土木
・建築
・ライフライン・設備

造船・舶用工業

・造船
・舶用機械
・舶用電気電子機器

自動車整備 ・自動車の日常点検整備、定期点検整備、特定整備、特定整備に付随する基礎的な業務
航空 ・空港グランドハンドリング(地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務等)・航空機整備(機体、装備品等の整備業務等)
宿泊 ・フロント,企画・広報,接客,レストランサービス等の宿泊サービスの提供
自動車運送業

・トラック運転者・タクシー運転者
・バス運転者

鉄道 ・軌道整備  ・電気設備整備  ・車両整備  ・車両製造  ・運輸係員(駅係員、車掌、運転士)
農業 ・耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)・畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)
漁業

・漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保等)
・養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理、養殖水産動植物の収獲(穫)・処理、安全衛生の確保等)

飲食料品製造業 ・飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生の確保)
外食業 ・外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)
林業 ・林業(育林、素材生産等)
木材産業

・製材業、合板製造業等に係る木材の加工等


介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業
※赤色の部分は1号も2号も受け入れ可能で、それ以外は1号のみ受け入れ可能です


特定技能1号と2号の比較
特定技能1号 特定技能2号
技能水準 相当程度の知識又は経験を必要とする(技能技能実習2号を終了した外国人は試験等免除) 熟練した技能(試験等で確認)
日本語能力水準 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除) 試験等での確認は不要
対象分類 16分野 11分野
在留期間 通算で上限5年まで(1年、6月、4月ごとの更新) 在留期限の上限なし(3年、1年、6月)
家族帯同 原則不可 要件を満たせば可能(配偶者、子のみ)
外国人支援 受入機関(採用する会社)または登録支援機関による支援が必要 不要
永住権の取得 不可 可能


特定技能外国人側に求められる要件
  • 健康状態が良好であること(医師の診断が必須)
  • 年齢が18歳以上であること
  • 従事する業務に必要な相当程度の知識又は経験を必要とする技能を有していることを、試験その他の評価方法で証明されていること※技能実習2号を良好に修了し、従事する予定の業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合は試験その他の評価方法による証明は不要です
  • 日本での生活および従事しようとする業務に必要な日本語能力水準を有していることが試験その他の評価方法で証明されていること※技能実習2号を良好に修了している場合は、日本語能力水準については試験その他の評価方法による証明は不要です
  • 日本からの退去強制に協力しない国・地域の外国人でないこと
  • 特定技能1号で在留できる期間が通算で5年以内であること
  • 本人またはその親族などが保証金の徴収や財産の管理または違約金契約を締結させらていないこと
  • 入国前および在留中に負担する費用について、当該外国人が負担する費用の額およびその内訳を理解して合意していること
  • 海外に渡航して労働を行う場合の当該本国での許可など、本国において必要な手続きを遵守していること
  • 特定分野ごとの特有の事情に鑑みて個別に定める基準に適合していること


会社側が外国人を受け入れるための基準
  • 外国人と結ぶ雇用契約が適切であること(報酬額が同様の業務に従事する日本人と同等以上等)
  • 会社側が法令等を遵守していること
  • 特定産業分野に該当する業務を行っている事業所であること
  • 外国人を支援する体制があること(登録支援機関への委託も可能)


会社側の義務
  • 外国人と結んだ雇用契約を確実に履行すること(報酬を適切に支払う等)
  • 外国人への支援を適切に実施すること
    ※支援については登録支援機関に委託も可能で、登録支援機関に全部を委託する場合は外国人を支援するが体制あるとされます
  • 出入国在留管理庁への各種届出を確実に履行すること

※もし上記の事項を怠ると今後特定技能だけではなくそれ以外の在留資格でも外国人を受け入れることができなくなる可能性があるほか、出入国在留管理庁から指導や改善命令等を受ける可能性がありますのでご注意ください


特定技能外国人に対する支援の概要(義務的支援)
  1. 事前ガイダンス
  2. 雇用契約締結後,在留資格認定証明書交付申請前又は在留資格変更許可申請前に,労働条件・活動内容・入国手続・保証金徴収の有無等について,対面・テレビ電話等で説明

  3. 出入国する際の送迎
  4. 入国時に空港等と事業所又は住居への送迎・帰国時に空港の保安検査場までの送迎・同行

  5. 住居確保・生活に必要な契約支援
  6. 連帯保証人になる・社宅を提供する等・銀行口座等の開設・携帯電話やライフラインの契約等を案内・各手続の補助

  7. 生活オリエンテーション
  8. 円滑に社会生活を営めるよう日本のルールやマナー,公共機関の利用方法や連絡先,災害時の対応等の説明

  9. 公的手続等への同行
  10. 必要に応じ住居地・社会保障・税などの手続の同行,書類作成の補助

  11. 日本語学習の機会の提供
  12. 日本語教室等の入学案内,日本語学習教材の情報提供等

  13. 相談・苦情への対応
  14. 職場や生活上の相談・苦情等について,外国人が十分に理解することができる言語での対応,内容に応じた必要な助言,指導等

  15. 日本人との交流促進
  16. 自治会等の地域住民との交流の場や,地域のお祭りなどの行事の案内や,参加の補助等

  17. 転職支援(人員整理等の場合)
  18. 受入れ側の都合により雇用契約を解除する場合の転職先を探す手伝いや,推薦状の作成等に加え,求職活動を行うための有給休暇の付与や必要な行政手続の情報の提供

  19. 定期的な面談・行政機関への通報
  20. 支援責任者等が外国人及びその上司等と定期的(3か月に1回以上)に面談し,労働基準法違反等があれば通報


登録支援機関

特定技能外国人を受け入れる際、企業には上記の支援義務が課せられています。しかし、必ずしもすべての支援業務を自社で対応しなければならないわけではありません。特に、外国人労働者を初めて受け入れる企業にとっては、言語や文化の違いにより、適切な対応をすべて自社で行うのは困難な場合もあります。


そのような状況で活用できるのが「登録支援機関」です。登録支援機関とは、出入国在留管理庁に正式に登録された専門機関であり、企業(受入機関)との契約に基づいて、1号特定技能外国人に対する支援業務を代行または補助することが認められています。これにより、企業は自社での対応が難しい支援業務を、専門的な知識と経験を持つ機関に委託することができます。


登録支援機関は、言語対応(通訳・翻訳)、生活面のサポート、業務上の相談対応、さらには文化・宗教などに関わるトラブルへの助言など、幅広い支援を提供します。このような専門的サポートを受けることで、企業は外国人労働者に対して適切で継続的な支援を実施することができ、結果として安心・円滑な就労環境の整備につながります。


このように、登録支援機関は企業と外国人労働者をつなぐ重要な役割を担っており、特定技能制度を支える上で欠かせない存在といえます。


登録支援機関の選び方
  • 登録状況の確認
  • 出入国在留管理庁の「登録支援機関登録簿」で、対象機関が正式に登録されているかを確認しましょう。

  • 支援実績と業種対応力の確認
  • 過去の支援実績や、特定の業種(例:建設、製造、宿泊業など)に対する対応経験が豊富な機関を選ぶと、スムーズな連携が期待できます。まず、登録支援機関に問合せしてみて、自社で不安な部分を質問し、的確な回答を得られるかを選ぶ基準にすることも良いかと思います。


  • 対応言語の確認
  • 採用予定の外国人労働者の母国語に対応できるか、または複数言語に対応しているかを確認しましょう。


  • 一括対応の有無を確認
  • 人材紹介から就労後の支援まで一貫して対応している機関を選ぶことで、手続きの簡素化とコスト削減が可能です。


  • 協議会への加入状況
  • 特定の分野(建設業、宿泊業など)では、協議会への加入が義務付けられている場合があります。該当分野での採用を検討している場合、協議会に加入している機関を選ぶと良いでしょう。


  • 所在地の近接性
  • 企業所在地から近い登録支援機関を選ぶことで、定期的な面談やトラブル発生時の迅速な対応が可能となり、円滑なコミュニケーションが期待できます。


  • アフターフォローの充実度
  • 定期的な面談や職場環境の改善提案など、入社後のサポートが充実している機関を選ぶことで、自社の外国人対応能力向上や外国人労働者の定着率向上が期待できます。


  • 費用の妥当性
  • 月額費用の相場は約20,000〜30,000円程度ですが、機関によってサービス内容が異なるため、複数の機関を比較し、費用対効果を検討しましょう。自社の外国人労働者対応能力に応じて、必要なものだけを選択できる柔軟な支援プランを提供している登録支援機関も多くあります。


特定技能外国人の受け入れの流れ(外務省ホームページより)


ポイント
  • 特定技能ビザは、単純労働を目的としたものではありません。一定の技能を要する業務に従事する必要があります
  • 受入れ分野や要件は、今後の法改正などにより変更される可能性があります。することが前提となっています
  • 建設業は常勤数と同数以下しか特定技能としての雇用が認められません
  • 介護は常勤の日本人等の人数と同数以下しか特定技能としての雇用が認められません
  • 派遣が可能なのは、農業と漁業のみです
  • 会社は協議会(特定技能外国人の適正な管理・保護を目的とした分野ごとの組織)への会員登録が必要です